アングル:暗号資産ETFが米市場に殺到へ、承認手続き迅速化で追い風

資産運用会社が暗号資産(仮想通貨)に連動する上場投資信託(ETF)を次々に立ち上げている。9月10日撮影のイメージ写真(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)
Suzanne McGee Hannah Lang
[24日 ロイター] - 資産運用会社が暗号資産(仮想通貨)に連動する上場投資信託(ETF)を次々に立ち上げている。デジタル資産を巡る投資熱が高まる一方で、商品化に関する上場基準の規制が緩和されたために活気付いているのだ。
米証券取引委員会(SEC)は先週、ETFに関する基準を改めた。ソラナからドージコインまで幅広い仮想通貨に連動するETF商品に対する需要を後押しする可能性がある。
より伝統的な仮想通貨であるビットコインやイーサリアムに関連するETFは2024年に、発行者や取引所に対してより厳しい基準を設けた従来の規制に従って立ち上げられた。
米国はビットコインかイーサリアム、あるいはその両方の保有するETFが21本あり、SECは現在その他の仮想通貨に関連する新しい商品も多数申請を受けている。
アナリストたちは新規制の下で最初に承認される商品が仮想通貨のソラナやXRPに連動するETFになると予想し、10月初旬に市場に出てくるとみている。
デジタル資産投資会社カナリー・キャピタル・グループ創業者のスティーブン・マクラグ氏は「私たちは現在、12件ほどの商品化をSECに申請しており、さらに増えるだろう」とし、「私たちはみんな新商品のETFの波に備えて準備しているのだ」と述べた。
SECの新たな上場基準によって暗号資産ETFの商品化申請に関する個別審査が不要となり、あらかじめ定められた基準を満たせば、時間のかかる案件ごとの承認手続きを経ずに上場できる。業界関係者はこうした結果、承認までの期間がこれまでの最大270日から75日以内に短縮されると述べた。
ETFは新しく迅速な承認手続きの恩恵を受けるために3つある主要な条件のうち少なくとも1つを満たさなければならない。まず、対象となる暗号資産が既に規制市場で取引されている、または米商品先物取引委員会(CFTC)が規制する先物取引契約で少なくとも6か月以上取引されている場合は資格がある。
もしくは、その暗号資産に連動する別のETFが既に存在し、そのETFが資産の少なくとも40%以上をオプションやスワップではなく実際の暗号資産に投資している場合は承認の可能性がある。
資産運用会社ヴァンエックのデジタル資産商品ディレクター、カイル・ダクルーズ氏は「現時点で申請している案件全てが新基準を満たすわけでない」と述べた。「次の段階はどの商品が前に進めるかどうか、どれだけ早く市場に投入できるかどうかを弁護士と検討することだ」と話す。
一方で、数多くのあまり知られていない仮想通貨に連動するETFに対する需要がどの程度あるのか、そうしたETFが投資家のポートフォリオにどのように位置付けられるかは依然として不透明なままだ。
ダクルーズ氏は「多くの人が耳にしたこともない仮想通貨が大量に市場に出てくるだろう。投資家教育の時間はビットコインの時は数年かかったが、これからは数週間から数カ月になるだろう」と述べた。