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NY市場サマリー(21日)株式下落、ドル上昇、利回り上昇

2025年08月22日(金)07時35分

<為替> ニューヨーク外為市場では、ドルが主要通貨に対し上昇した。市場では米連邦準備理事会(FRB)が来月の会合で利下げに踏み切るか手がかりを得ようと、パウエルFRB議長が22日に行う講演が注目されている。ただ、9月の会合までに一連の8月の経済指標の公表が控えているため、パウエル議長が利下げを明確に示唆する可能性は低いとみられている。

米ワイオミング州でこの日から3日間の日程で始まった年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」の今年のテーマは「移行期にある労働市場」。同会議でパウエル議長が行う講演について、ゴールドマン・サックスのエコノミストは、7月の連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で述べた「より多くの情報が得られるのを待つのに適した立場にある」という表現を修正する可能性があると予想。「FRBが担う二重の責務(物価安定と最大雇用)の双方に対するリスクに適切に対処できる立場にあるとの見方を示すと同時に、7月の雇用統計を受けて労働市場の下振れリスクが高まったと強調する一方で、関税措置による物価水準への影響は一時的なものになる可能性が高いとの見解を改めて示す」と予想した。

その上で、9月16─17日の会合での利下げが決定されるとパウエル議長が明確に示唆する公算は小さいとしながらも、パウエル氏が利下げを支持する公算が大きいと市場に伝える内容の講演になるとの見方を示した。

この日発表の経済指標では、労働省発表の8月16日までの1週間の新規失業保険申請件数が1万1000件増の23万5000件と、約3カ月ぶりの大幅な増加となった。これを受け、ドルは一時上げ幅を縮小した。ただ、その後に発表されたS&Pグローバルの8月の米総合購買担当者景気指数(PMI)速報値が55.4と昨年12月以来の高水準となったことを受け、地合いを取り戻した。

FRB当局者の間では、アトランタ地区連銀のボスティック総裁がFRBが今年1回金利目標を引き下げることは可能だと依然として考えていると述べたほか、 カンザスシティー地区連銀のシュミッド総裁が現時点ではインフレを巡るリスクが労働市場が悪化するリスクを上回っているとの見方を示し、FRBは利下げを急ぐ必要はないと発言。クリーブランド地区連銀のハマック総裁は足元の経済情勢を踏まえるとFRBが利下げに踏み出す時期ではないという認識を示した。

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 米金融・債券市場では、国債利回りが上昇した。まちまちな経済指標を受けて、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が後退し、22日に予定されているパウエルFRB議長の発言を前に市場参加者が慎重な姿勢を取った。

指標となる10年債利回りは3.4ベーシスポイント(bp)上昇し4.329%となった。

2年債利回りは4.8bp上昇し3.792%。

RBCグローバル・アセット・マネジメントのアンジェイ・スキバ氏は「今年のジャクソンホール会議はパウエル議長が再び金融緩和に同意する機会になると予想している。今月のインフレ指標にはいくつか注目すべき点があるものの、米連邦公開市場委員会(FOMC)のハト派の主張を抑えるにはおそらく十分ではないだろう」とした。

CMEのフェドウオッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物は、9月の金利緩和確率を74%織り込んでいる。前日は82%、1週間前は92%だった。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 米国株式市場は主要株価指数が下落して取引を終えた。22日に予定されるパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演がタカ派的となれば株価が変動するとの懸念が重しとなった。また、小売り大手ウォルマートの四半期決算を受けて市場心理が悪化した。

市場の焦点はパウエル議長が講演する年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」だ。トレーダーは最近の雇用市場の弱さを受けて、9月の利下げに関する手がかりを探ろうとパウエル氏の発言に注目している。

CFRAリサーチのチーフ投資ストラテジスト、サム・ストバル氏は「FRBが利下げする確率は依然として80%程度となっているが、それが疑問視されている」と指摘。これが利益確定の動きにつながっているとの見方を示した。

LSEGがまとめたデータによると、市場では9月の25ベーシスポイント(bp)利下げ確率は先週の99.9%から79%に低下している。

8月の取引量は少なく、パウエル氏の発言後にボラティリティーが拡大する可能性が高い。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演待ちムードが強まる中、ポジション調整の売りがやや優勢となり、小反落した。

米カンザスシティー連邦準備銀行が主催する年次経済シンポジウム「ジャクソンホール 会議」が西部ワイオミング州で21─23日開催される。パウエルFRB議長による22 日の講演での金融政策の方向性に関する発言が最大の焦点。金相場は早朝、利益確定の売りが先行。相場は安値拾いの買いにプラス圏に浮上する場面もあったが、持ち高調整の売り買いが中心となり、狭いレンジ内で方向感の出にくい地合いとなった。 外国為替市場でドルが対ユーロで徐々に買い戻されたことも、ドル建てで取引される商品の割高感につながり、金相場を下押しした。

市場関係者の間からは、パウエルFRB議長が22日の講演で、9月に利下げを再開する可能性に言及しても、相場は金融緩和をほぼ織り込み済みで、波乱要因にはならないと の見方が聞かれた。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、ウクライナ和平交渉の行方を巡る不透明感が根強い中、上伸した。

トランプ米大統領は18日、欧州首脳らと会談し、ウクライナ停戦に関し協議した。トランプ氏はロシアによるウクライナ再侵攻を防ぐ「安全の保証」に関与する方針を確認。米軍地上部隊の派遣を否定する一方、防空支援の可能性に言及した。

一方、ロシアのラブロフ外相は20日、プーチン大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が会談する可能性について、早期実現に懐疑的な見方を表明。「安全の保証」の計画にはロシアや中国も関与すべきだと主張した。さらに、この日はロシア軍がウクライナ領内に大規模な空爆を行ったとも報じられ、米政権による対ロ制裁強化への警戒感から、相場はじりじりと上昇した。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 148.37/148.38

始値 147.84

高値 148.40

安値 147.59

ユーロ/ドル NY終値 1.1605/1.1607

始値 1.1649

高値 1.1657

安値 1.1602

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 97*11.00 4.9203%

前営業日終値 97*19.00 4.9040%

10年債(指標銘柄) 17時05分 99*12.00 4.3277%

前営業日終値 99*20.00 4.2960%

5年債(指標銘柄) 17時05分 100*02.75 3.8553%

前営業日終値 100*09.25 3.8100%

2年債(指標銘柄) 17時05分 100*04.88 3.7918%

前営業日終値 100*07.75 3.7440%

 終値 前日比 %

ダウ工業株30種 44785.50 -152.81 -0.34

 前営業日終値 44938.31

ナスダック総合 21100.31 -72.55 -0.34

 前営業日終値 21172.86

S&P総合500種 6370.17 -25.61 -0.40

 前営業日終値 6395.78

COMEX金 12月限 3381.6 ‐6.9

前営業日終値 3388.5

COMEX銀 9月限 3807.9 +30.6

前営業日終値 3777.3

北海ブレント 10月限 67.67 +0.83

前営業日終値 66.84

米WTI先物 10月限 63.52 +0.81

前営業日終値 62.71

CRB商品指数 298.4182 +2.4132

前営業日終値 296.0050

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