アングル:FRBのインフレ懸念具現化、6月CPIが関税コスト転嫁を反映

15日発表された6月の米消費者物価指数(CPI)の伸び加速を受け、エコノミストの間では、トランプ米政権の高関税措置の影響が消費者に転嫁されつつあるという見方が高まった。2013年7月撮影(2025年 ロイター/Jonathan Ernst)
[ワシントン 15日 ロイター] - 15日発表された6月の米消費者物価指数(CPI)の伸び加速を受け、エコノミストの間では、トランプ米政権の高関税措置の影響が消費者に転嫁されつつあるという見方が高まった。
6月CPIは前年比2.7%上昇と、伸びは5月の2.4%から加速。物価の「瞬間風速」を示す前月比も0.3%上昇し、1月以来の大幅な伸びとなった。
エコノミストらは、6月のCPI統計で示された衣料品、家庭用装飾品、娯楽用品などの分野での価格上昇に注目。インフレーション・インサイツを率いるオマール・シャリフ氏は「関税が影響し始めていることを示した」と指摘。プリンシパル・アセット・マネジメントのチーフグローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏は「FRBは少なくともあと数カ月、様子見姿勢を維持するのが賢明だろう」と述べた。
パンテオン・マクロエコノミクスの米国チーフエコノミスト、サミュエル・トゥームズ氏は「関税コストは6月CPIデータに顕著に表れている」とし、「主に輸入品の価格が特に急騰した」と述べた。
CPI統計によると、輸入品が多いオーディオ・ビジュアル(AV)関連機器の価格は前月比1.1%上昇、前年比11.1%上昇と、過去最大の上昇率を記録した。
また、食品・エネルギーおよび、自動車を除く製品の価格は、2022年6月以来の大幅な伸びとなった。
米連邦準備理事会(FRB)当局者やエコノミストらはこれまで、関税によるインフレへの影響が今後数カ月で顕在化すると見込んできた。パウエルFRB議長もインフレが夏にかけて上昇するとの見通しを示し、「この夏、6月の数字と7月の数字によって状況が分かり始めるだろう」として利下げを急がない姿勢を維持していた。
一方、関税の物価への影響が一時的なもので終わる可能性もある。ただ、トランプ大統領は最終的な関税率をなお検討しているほか、8月1日に発効する高関税も多くあるため、インフレ見通しは依然不透明だ。
EYパルテノンのチーフエコノミスト、グレゴリー・ダコ氏は「関税の導入とインフレに影響する間にタイムラグがあることを認識している」とし、「企業は輸入を様々な方法で管理しており、関税がCPIに及ぼす本格的な影響はまだ見られない。今後、より顕著になるだろう」と述べた。
投資家は引き続き、FRBが9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%利下げに着手すると見込む。7月会合での利下げ確率は現時点で5%を下回る。