アングル:リスクは成長かインフレか、FRBのジレンマ映す企業の苦境

7月8日、成長減速とインフレのどちらのリスクが米経済にとって深刻か──。米連邦準備理事会(FRB)が直面するジレンマが米国内外で行われた企業への聞き取り調査で改めて浮き彫りになった。写真はFRBの外観。2022年1月、ワシントンで撮影(2025年 ロイター/Joshua Roberts)
Howard Schneider
[ワシントン 8日 ロイター] - 成長減速とインフレのどちらのリスクが米経済にとって深刻か──。米連邦準備理事会(FRB)が直面するジレンマが米国内外で行われた企業への聞き取り調査で改めて浮き彫りになった。
最近実施された2つの調査によると、企業経営者は値上げを計画しながらも、売上高と需要の減少を想定しており、緊張状態が続くと見込んでいることが分かる。
こうした見通しやそれに付随する不確実性を受け、FRBが利下げに動くまでには予想より長い時間がかかる可能性があり、トランプ大統領との溝がさらに深まりかねない。トランプ氏は先週も大幅な利下げを要求し、バウエルFRB議長に辞任を迫った。ベセント財務長官もFRBの金利設定を「ちょっとずれている」と批判した。
<関税の影響受けていない企業も値上げ>
アトランタ地区連銀とリッチモンド地区連銀がデューク大学と共同で企業の最高財務責任者(CFO)を対象に行った調査では、関税引き上げの影響を受けていない企業でさえも値上げの方針を示した。FRB当局者がより持続的な物価高を懸念させる結果だ。
アトランタ地区連銀のエコノミスト、ブレント・マイヤー氏はロイターに、現在の環境下で物価圧力が関税による直接的な影響範囲を超えて広がっていることが懸念されると語り、そうした証拠をある程度目にしつつあると指摘した。
アトラン地区連銀のボスティック総裁は最近、企業が関税へ順応するには1年ないしそれ以上かかる可能性があり、物価に上昇圧力がかかるリスクはかなり大きいとの見方を示している。
<関税で冷え込む企業心理>
一方、ダン&ブラッドストリートが世界の1万社に対して実施した調査からは、トランプ氏の関税計画がより鮮明になった時点で、企業心理がはっきりと落ち込んだことが分かる。同社のチーフ・グローバル・エコノミスト、アルン・シン氏は、企業の動きはサプライチェーン(供給網)により高いコストを根付かせる恐れがあるのと同時に、今後の成長鈍化を示唆する内容だと分析する。
調査では全体的な楽観見通しが着実に減少し、サプライチェーンの耐久性への懸念が台頭するとともに、利下げが多くの企業にとって目に見える形で借り入れ環境の改善につながっていない様子がうかがえる。
シン氏は「経済の先行き懸念は短期的な現象にはならないだろう。設備投資は先送りされ、取引先への支払いにも遅れが出ている」と述べた。
<動けぬFRB>
このような景気先行き不安があってもFRBが利下げをためらう主な理由の1つは、企業に広がる値上げ姿勢だ。
アトランタ地区連銀などのCFO調査では、向こう1年で価格を2倍に引き上げる計画の企業も見られた。そうした値上げとともに事業活動の減速も予想されていることから、FRBはスタグフレーションへの対応を迫られる可能性がある。
シティのチーフ・グローバル・エコノミスト、ネーサン・シーツ氏は、米経済にとって関税がスタグフレーション的なショックになり、物価上昇と成長下振れの方向へ進むと予想している。
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