NY市場サマリー(30日)S&P・ナスダック最高値更新、ドル対ユーロで約4年ぶり安値、利回り低下
<為替> ニューヨーク外為市場では、米国の財政赤字拡大に対する懸念のほか、米政府が進める主要貿易相手国・地域との通商交渉を巡る不透明感を背景に、ドルが対ユーロで約4年ぶりの安値を付けた。
米上院共和党はトランプ大統領が掲げる包括的な税制・歳出法案の審議を進めており、この日に多数の修正案について採決を行う予定。同法案で米国の債務が3兆3000億ドル押し上げられると予想され、党内で意見が分かれているものの、可決に向けて取り組む方針を示している。
クラリティFX(サンフランシスコ)のエクゼクティブ・ディレクター、アモ・サホタ氏は「大規模な歳出法案が成立するか、大きく注目されている」と指摘。「ドルは下落基調にあるが、今年も半ばを過ぎた時点でスウェーデンクローナ、スイスフラン、ユーロが大きな勝ち組になっている。ユーロは欧州連合(EU)が大規模な支出法案を発表した後に形勢が好転した」と述べた。
マネーコープ(ニュージャージー州)の北米ストラクチャリング部門責任者、ユージン・エプスタイン氏は「米国の財政赤字が大幅に拡大するとの懸念を背景にドルが下落する中、関税協議を巡る不透明感が継続している」と指摘。「トランプ政権が掲げる包括的な税制・歳出法案のほか、関税を巡る協議やイランとイスラエルの紛争など、1つの問題が通過すると次の問題に焦点が移り、まるで椅子取りゲームのように物事が回っている」と述べた。
ユーロ/ドル< EUR=EBS>は1.1780ドルと、2021年9月以来の高値を更新。終盤の取引では0.45%高。月初からは約3.8%、年初からは約14%上昇している。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 米金融・債券市場では、利回りが低下した。年内の連邦準備理事会(FRB)による利下げペースが加速するとの見方が強まる中、今週発表される一連の経済指標に注目が集まる。
米上院は28日夜、トランプ米大統領が掲げる包括的な税制・歳出法案の審議開始に向けた採決を実施した。共和党から2人が反対に回ったが、51対49の賛成多数で手続き上の最初のハードルをクリアした。ただ、これまでのところ債券市場での反応は限定的なものに留まっている。
超党派の米議会予算局(CBO)は同法案の上院案について、向こう10年間で約3兆3000億ドルの財政赤字拡大につながるという推計を公表している。
ここ数週間の連邦準備理事会(FRB)の一部当局者からのハト派的発言を受け、市場ではFRBの金融政策にも注目が集まる。トランプ大統領は、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長に書簡を送り、利下げを実施するよう求めたと、ホワイトハウスのレビット報道官が30日、明らかにした。
ミシュラー・フィナンシャル・グループ(ユタ州パークシティ)のマネジング・ディレクター、トム・ディ・ガロマ氏は「政権は金利引き下げに非常にコミットしている」と指摘。FRBの銀行資本規制の緩和について言及し、「政権は銀行と補完的レバレッジ比率(SLR)に関する同措置を通じて、金利が下がりやすい環境を作るだろう」と述べた。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 米国株式市場は続伸し、S&P総合500種とナスダック総合が最高値を更新して取引を終えた。貿易交渉や利下げへの期待感を背景に、両指数とも四半期では2桁台の上昇率を記録し、1年超ぶりの大きさとなった。
S&P500は第2・四半期に10.57%、ナスダックは17.75%、ダウ工業株30種は4.98%、それぞれ上昇。小型株のラッセル2000指数は8.28%上昇した。ただ、米貿易政策を巡る不透明感から、主要3指数の上半期の上昇率は2022年以来の低さとなった。
足元は貿易を巡る英国や中国との合意を受けて全面的な貿易戦争は最小限に抑えられるとの楽観的な見方が広がり、相互関税の上乗せ分の猶予期限となっている7月9日までにさらなる合意がまとまるとの期待が高まっている。
ウエストチェスター・キャピタルのロイ・ベーレン共同社長は「アニマルスピリッツが発揮されているようだ」としたほか、四半期末は「お化粧買い」で株価が上昇するのは珍しくないと指摘した。
カナダ財務省は29日、米テクノロジー企業を対象に30日から導入予定だったデジタルサービス税(DST)について、米国との貿易交渉を進めるために撤回したと発表した。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の行方をにらみ、雇用関連指標に関心が集まる中を反発した。
FRBに早期の利下げを求めているトランプ米大統領は、パウエルFRB議長に対する圧力を一段と強めている。トランプ氏に追随する形で、閣僚らも相次いで早期利下げを要求。パウエル氏の任期は来年5月だが、トランプ氏は早くも後任選び着手をにおわせている。次期議長候補を巡る観測が飛び交う中、今週発表される労働関連指標がFRBによる利下げの判断に影響を与え得るとの見方から、金は買い優勢となった。 アトランタ連邦準備銀行のボスティック総裁は30日、ロンドンでの会合で、FRBの年内の利下げは1回にとどまるとの見通しを示した。2026年については3回の利下げを想定していると述べたが、金相場への影響は限定的だった。
カナダ政府は29日、トランプ米大統領が打ち切りを表明した貿易交渉について、両国が再開することで合意したと明らかにした。協議中止の要因となった米IT企業に対する デジタル課税をカナダが撤回したためで、7月21日までに妥結を目指すという。米相互関税上乗せ分の停止措置の期限を7月9日に控え、米国と貿易相手国との通商協議が進展するとの期待も高まっている。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、主要産油国による増産観測が強まる中を4営業日ぶりに反落した。
27日の相場は、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟産油国で構成する「OPECプラス」が7月6日の会合で、過去3カ月と同水準の日量41万1000バレルの増産を決定する可能性があるとの報道が上値を抑え、小幅高で終了。この日も増産報道が材料視される中、需給が緩むとの見方が一段と強まり、売りが先行した。 また、イスラエルとイランの停戦合意がこれまでのところ維持されていることで、中東情勢の緊迫化を背景としたエネルギー供給不安が後退したことも、圧迫要因となった。 一方、外国為替市場では対ユーロでドル売りが優勢。ドル建てで取引される商品の割安 感につながり、下値を支えた。相場は前週に週間で12%超下げており、安値拾いの買いも入りやすく、下げ幅は限定的だった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 144.01/144.
06
始値 144.18
高値 144.51
安値 143.97
ユーロ/ドル NY終値 1.1786/1.17
88
始値 1.1724
高値 1.1788
安値 1.1708
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 99*17.5 4.7783
0 %
前営業日終値 98*15.5 4.8460
0 %
10年債(指標銘柄) 17時05分 100*04. 4.2319
50 %
前営業日終値 99*23.5 4.2830
0 %
5年債(指標銘柄) 17時05分 100*10. 3.8005
75 %
前営業日終値 100*06. 3.8300
50 %
2年債(指標銘柄) 17時05分 100*01. 3.7274
38 %
前営業日終値 100*00. 3.7400
63 %
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 44094.77 +275.50 +0.63
前営業日終値 43819.27
ナスダック総合 20369.73 +96.28 +0.48
前営業日終値 20273.46
S&P総合500種 6204.95 +31.88 +0.52
前営業日終値 6173.07
COMEX金 8月限 3307.7 +20.1
前営業日終値 3287.6
COMEX銀 9月限 3617.2 ‐19.8
前営業日終値 3637.0
北海ブレント 8月限 67.61 ‐0.16
前営業日終値 67.77
米WTI先物 8月限 65.11 ‐0.41
前営業日終値 65.52
CRB商品指数 297.2752 ‐2.4615
前営業日終値 299.7367