アングル:三菱重工、伝統企業が「グロース」化 防衛費増でテーマ物色

6月23日、 伝統的な企業の代表格の一つ、三菱重工業がグロース(成長)株としての評価を高めている。写真は同社のロゴ。都内で2022年12月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
Noriyuki Hirata
[東京 23日 ロイター] - 伝統的な企業の代表格の一つ、三菱重工業がグロース(成長)株としての評価を高めている。防衛費拡大の流れに乗った株価上昇は4年目に入り、株価収益率(PER)は半導体企業並みの水準まで上昇している。それでも、足元では中東での地政学リスクの高まりに加え、米国からの一段の防衛費引き上げ要求の動きが報じられ、実現可能性が高まるようなら株価はさらに伸長するとの思惑が浮上している。
米国が日本に対し防衛費を国内総生産(GDP)比3.5%に引き上げるよう求めたとの英フィナンシャル・タイムズ紙報道を受け、市場では関連企業の業績押し上げへの期待が改めて高まっている。「(防衛費が)GDP比3%やそれ以上となる蓋然性が高まれば、これまでの前提が変わり、上値余地が生じる」と、岡三証券の諸田利春氏は語る。
23日の東京市場では、日経平均やTOPIXが下落する中、防衛関連株は軒並み逆行高となった。三菱重工業は3.7%高の3578円、川崎重工業は3.9%高の1万0740円、IHIは5.3%高の1万6220円に一時上昇した。
防衛費の拡大は、これまでも関連株のテーマになってきた。ロシアによるウクライナ侵攻があった2022年、防衛費を27年にGDP比2%に倍増する目標が打ち出される中で、関連株は上昇基調に入った。三菱重工の株価は3年を経て当時の約7─8倍の水準に高まった。
<環境変化が促す「グロース」化>
企業の利益水準に対して株価が割高か割安かを判断する目安とされる株価収益率は、三菱重工の場合、株高に伴って22年の10倍台前半から44倍にまで高まった。事業モデルは異なるが、グロース性が意識される東京エレクトロンの19倍や、アドバンテストの39倍と比べても高水準となっている。
それでも、将来の業績成長の確度が高まってきたとして「まだまだバリュエーション面で評価できる」と、丸三証券の高橋侑也氏は指摘する。防衛費拡大に向けた「外圧」に加え、利益の見通しも立ちやすくなった。
防衛装備庁は、23年度から防衛装備品を生産する企業に対し、品質管理などの取り組みを前提に想定利益率を引き上げ、資材価格や労務費といったコスト変動も考慮する仕組みを導入。受注採算の悪化リスクが低下してきている。
加えて、三菱重工の場合、AI(人工知能)関連株の一角の側面もある。北米でのデータセンター向け需要を背景に、発電用ガスタービンの受注が伸長しており、三菱重工の伊藤栄作社長は5月9日の決算説明会で「今後5年から10年は安定した受注が期待できる」との見通しを示した。
実際の利益貢献は数年先とみられるが、将来見通しの確度が高まってきていると、丸三の高橋氏は指摘。同氏は12日付で三菱重工の目標株価を従来の2850円から4000円に引き上げたが「伸びしろはある」と話した。
三木証券の北沢淳商品部投資情報課次長は「不確実な経済情勢の中でも安定的に成長が見込めるようになってきた。まるでグロース株のような特性になってきている」との見方を示す。
<リスクシナリオにも目配り必要>
もっとも、リスクはある。防衛費の増額は世界的な潮流ではあるが、実際に引き上げるには、国民や周辺国の理解、財源の確保といった壁が立ちはだかる。実現のハードルは低くなく曲折が見込まれ、期待が失望に変わるリスクはくすぶる。
ガスタービンは、AI向けの電力需要が低下する可能性も排除できない。中国発のAI「ディープ・シーク」の台頭時には、既存の大規模モデルに比べて低コスト・高性能との見立てから、高性能半導体や大規模データセンターの必要性に懐疑的な見方が広がった経緯がある。
足元の堅調なAI関連需要を背景にディープ・シーク脅威論は鳴りを潜めているものの、今後の技術革新次第ではAI向け電力の必要量が低下しかねない。現状ではその兆候はみられていないが、仮にこのシナリオが実現するなら、堅調な受注が止まるリスクにつながり得る。
(平田紀之 編集:橋本浩)
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