基調物価、伸び悩むが徐々に高まる 経済・物価の改善に応じ利上げ=日銀総裁

6月20日、日銀の植田和男総裁は、金融政策決定会合後の記者会見で、現在の実質金利は「極めて低い水準にある」との認識を示した上で、日銀の先行きの見通しが実現していけば、経済・物価の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げていくと述べた。都内で5月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Takahiko Wada
[東京 20日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は20日、全国信用金庫大会であいさつし、基調的な物価上昇率は「伸び悩むものの、成長率が高まるもとで徐々に高まっていく」と述べ、展望リポートの見通し期間の後半には2%目標と整合する水準で推移するとした。その上で、見通しが実現していくとすれば、経済・物価の改善に応じて引き続き政策金利を引き上げる考えを示した。
植田総裁は、景気は一部で弱めの動きが出ているものの「緩やかに回復している」と述べた。先行きは、各国の通商政策の影響で海外経済が減速し、緩和的な金融環境は下支え要因になるものの「成長ペースは鈍化する」とした。その後は、海外経済が緩やかな成長経路に復していく中で成長率を高めていくとの見通しを示した。
各国の通商政策の今後の展開やその影響を巡る不確実性は「極めて高い」と指摘。日銀の見通しが実現するのか、内外の経済・物価情勢や市場動向を丁寧に確認し、「予断を持たずに判断していくことが重要だ」と語った。
植田総裁は、16─17日の金融政策決定会合で決めた2026年4月以降の国債買い入れ減額計画に触れ、国債市場の安定に配慮した形で市場機能の改善を進めていけるように、月間買い入れ額を四半期2000億円ずつ減額することにしたと説明した。