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世銀、途上国原発事業への支援再開へ 上流ガス支援は議論継続

2025年06月12日(木)10時11分

 6月11日、世界銀行のバンガ総裁(写真)は、増大する電力需要に対応する取り組みの一環として、世銀理事会が途上国の原発プロジェクトへの資金提供を再開することに合意したと発表した。5月5日、ビバリーヒルズで撮影(2025年 ロイター/ Mike Blake)

Andrea Shalal

[ワシントン 11日 ロイター] - 世界銀行のバンガ総裁は11日、増大する電力需要に対応する取り組みの一環として、世銀理事会が途上国の原発プロジェクトへの資金提供を再開することに合意したと発表した。

総裁は10日の理事会後の内部向けの電子メールでエネルギー戦略の見直しについて説明。天然ガスの生産に世銀が資金提供すべきかどうか、提供する場合の条件については理事会の意見が一致していないという。

世銀は各国のインフラ建設を支援するために低金利で融資を行っている。2013年に原発プロジェクトへの資金提供停止を決定、17年には石油・ガス上流プロジェクトへの資金提供を19年から停止すると発表し、最貧国でのプロジェクトの扱いは検討中としていた。

関係筋によると、理事会は原発プロジェクトへの資金提供再開では容易に合意に達したが、天然ガス上流プロジェクトの支援再開を巡っては独、英、仏を含む数カ国が完全には支持しなかった。

バンガ氏は「問題は複雑だが、開発の原動力として電力供給という明確な道筋が見えてきた」と述べ、上流ガスプロジェクトについてはさらなる議論が必要だとした。

同氏はメモの中で、途上国では35年までに電力需要が2倍以上に増加する見込みで、対応するためには発電、送電網、蓄電池への現在の年間投資額2800億ドルを倍以上に増やす必要があると指摘した。

トランプ米政権は就任以来、世銀の原子力プロジェクトへの支援解禁を強く推進している。

バンガ氏は、世銀グループは国際原子力機関(IAEA)と緊密に協力し、核不拡散保障措置、安全保障、規制の枠組みに関する助言能力を強化すると述べた。

ロイター
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