伊ウニクレディト、現時点で買収戦略に進展の余地なし=CEO

6月11日、イタリアの金融大手ウニクレディトのアンドレア・オーセル最高経営責任者(CEO、写真)は、自身の買収戦略には今のところ進展の余地がほとんどないとの見解を示した。5月30日、ローマで撮影(2025年 ロイター/ Remo Casilli)
[ミラノ 11日 ロイター] - イタリアの金融大手ウニクレディトのアンドレア・オーセル最高経営責任者(CEO)は11日、自身の買収戦略には今のところ進展の余地がほとんどないとの見解を示した。ドイツのコメルツ銀行は株価が高すぎて、イタリアの同業バンコBPMはイタリア政府が事実上、買収を阻止していると理由を説明した。
2021年にCEOに就いたオーセル氏は、金利の高止まりと厳格なコスト管理のおかげで、株主が享受しているリターンを維持できるという厳格な条件を満たすのであれば、成長加速の手段として合併・買収(M&A)を活用する方針を打ち出した。ウニクレディトの株価が7倍に上昇したことを背景に昨年、コメルツ銀行とバンコBPMに触手を伸ばしたが、ドイツとイタリアの両国政府から強い反発を受けた。
イタリア政府はウニクレディトによるバンコBPM買収計画の承認に際して、ロシア事業への融資や預金の停止など条件を付けた。
オーセル氏は、現在ウニクレディトが四半期ごとに処理している支払いは約60億ユーロで、以前の250億ユーロから減っているが、この支払いに関連する10億ユーロ弱の預金が政府の条件に違反するとみなされるかどうか不明だと指摘。「この点が明確にならない限り、われわれがリスクを取る可能性はゼロであり、計画から撤退する」と述べ、BPM買収が成立する可能性は20%以下との認識を示した。
オーセル氏はCNBCの取材でコメルツ銀行の完全買収についても、約30%の持ち分から得た利益に満足しているとしつつ、「株価上昇が行き過ぎており、今の水準ではわれわれの投資家にとっての価値が見出せない」と慎重な姿勢を示した。