NY市場サマリー(11日)S&P・ナスダック下落、ドル下落、利回り低下
<為替> 終盤のニューヨーク外為市場では、ドルが下落した。朝方発表された米インフレ指標が予想を下回る内容となったことを受け、連邦準備理事会(FRB)が予想よりも早く利下げを再開する可能性が示唆された。
一方、トランプ大統領が貿易を巡る中国とのディールが完了し、中国はレアアース(希土類)類を供給するとの発言を受け、ドルの下げ幅は一時縮小した。
午後の取引では、ドル/円は0.2%安の144.58円となった。ユーロは対ドルで0.5%上昇して1.1484ドルとなった。ただ、米中の貿易協議に関するニュースを受けてドルに対する見方が若干改善し、ユーロの上げ幅は一時縮小した。
米労働省の労働統計局(BLS)が発表した5月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.4%上昇し、伸びは4月の2.3%からやや加速した。ガソリン価格の低下で家賃の上昇が相殺されたことで、伸びは予想(2.5%)を下回った。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンのシニア市場ストラテジスト、イライアス・ハダド氏は、「インフレの勢いは鈍化しており、それが金利見通しの下方修正につながっている」と指摘。フェデラルファンド(FF)金利先物市場では年末までに50ベーシスポイント(bp)の利下げが行われる可能性が高まっていると述べた。
NY外為市場:[USD/J]
<債券> 米金融・債券市場では国債利回りが低下した。低下は3日連続。米国の消費者物価指数(CPI)のほか、米中通商協議を巡る好材料が出たことで、米国債に対する需要が上向いた。
財務省が実施した10年債入札は最高落札利回りが4.421%と、入札前取引を約0.5ベーシスポイント(bp)下回った。応札倍率は2.52倍と、このところのトレンドと一致する水準。米国の長期債に対する健全な需要が存在していることが示され、海外投資家が米債を敬遠している可能性があるとの懸念が緩和した。12日に予定されている30年債入札でも、米国の長期債に対する需要が再び試されることになる。
LPLファイナンシャルの債券ストラテジスト、ローレンス・ギラム氏は「10年債入札が需要不足に陥らなかったことで、ひとまず安心感が広がった」と指摘。ただ、12日の30年債入札が一段と大きな試金石になるとの見方を示した。
米中の通商問題を巡っては、両国は9─10日にロンドンで2回目の閣僚級協議を行い、中国のレアアース(希土類)輸出規制を解消する枠組みなどで合意。これを受け、トランプ米大統領は11日、貿易を巡る中国とのディールが完了し、中国はレアアースを供給する一方、米国は中国人学生の大学入学を認めると明らかにした。
労働省が発表した5月のCPIは前年比2.4%上昇し、伸びは4月の2.3%からやや加速したものの、伸びは予想(2.5%)を下回った。変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数は前年比2.8%上昇と、伸びは前月から横ばい。予想は2.9%上昇だった。
米金融・債券市場:[US/BJ]
<株式> 米国株式市場はS&P総合500種とナスダック総合が下落して取引を終えた。インフレ指標が落ち着いた内容となり、関税による物価上昇圧力への懸念が和らいだものの、中東情勢の緊迫化に圧迫された。市場は米中通商協議の詳細を待っている。
在イラク米大使館は地域的な安全保障上のリスクが高まっているとして避難命令を出す準備を進めている。イラク治安当局と米国の関係筋が11日明らかにした。
これを受け、米株市場は小幅な上昇から下げに転じた。ダウ工業株30種はほぼ横ばいで引けた。
イランのナシルザデ国防軍需相はこの日、米国と6回目の核協議が予定される中、交渉が頓挫し、米国との間に紛争が生じた場合、イランは地域の米軍基地を攻撃すると述べた。
アマゾン・ドット・コムは2%下落、エヌビディアは0.8%下落し、S&P500の重しとなった。
米国株式市場:[.NJP]
<金先物> ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、5月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、年内の利下げ観測が強まっ たことを背景に反発した。
米労働省が朝方発表した5月のCPIは、前月比0.1%上昇、前年同月比2.4%上 昇といずれも市場予想を下回った。コアCPIも予想を下回る伸びとなり、米連邦準備理事会(FRB)が9月にも利下げに踏み切るとの見方が市場で広がった。これを受け長期金利の指標である10年物国債金利が低下。外為市場で、ドルが対主要通貨で下落し、ドル建てで取引される金の割安感から買いが集まった。 金相場は、3380ドル超まで一気に上昇した後はすぐに上値を削ったものの、終日プラス圏で推移した。
通商面では、トランプ米大統領が11日、「米中のディール(取引)は、米中首脳の承認を経て成立する」とSNSに投稿。中国からレアアース(希土類)が供給されると明言 した。
NY貴金属:[GOL/XJ]
<米原油先物> ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、産油国イラクの地政学リスクへの警戒感が台頭し、急反発した。
米中両政府は10日まで開かれた貿易協議で、5月にスイス・ジュネーブで行われた閣僚級協議で一致した内容を履行するための「枠組み」設置で合意した。中国によるレアアース(希土類)の輸出規制の解決にもつながるとみられている。滞っていた米中の貿易が改善され、石油需要拡大につながるとの期待が広がり、原油は取引序盤から買い進まれた。 米エネルギー情報局(EIA)による在庫週報発表後も、買い地合いは続いた。最新週の週間統計によると、原油在庫は予想を上回る取り崩し、石油製品在庫は予想を上回る積 み増しとまちまちの内容。ただ、需要の目安となる自動車ガソリンの供給量は上昇した。
その後一部報道で、在イラク米国大使館が地域的な安全保障上のリスクの高まりを受け、 避難命令を出す用意をしていると伝わった。これをきっかけに石油輸出国機構(OPEC) 加盟国イラクの供給不安が浮上し、相場は上げ幅を急拡大した。報道では、イランのナシルザデ国防軍需相が、イラン核開発を巡る米国とイランの協議が物別れに終わり紛争が勃発した場合、イランは地域の米軍基地を攻撃する可能性があると述べたことも分かった。
NYMEXエネルギー:[CR/USJ]
ドル/円 NY終値 144.54/144.
56
始値 145.12
高値 145.46
安値 144.33
ユーロ/ドル NY終値 1.1487/1.14
88
始値 1.1438
高値 1.1499
安値 1.1427
米東部時間
30年債(指標銘柄) 17時05分 97*14.0 4.9141
0 %
前営業日終値 97*02.0 4.9390
0 %
10年債(指標銘柄) 17時05分 98*20.5 4.4203
0 %
前営業日終値 98*07.0 4.4740
0 %
5年債(指標銘柄) 17時05分 99*29.2 4.0190
5 %
前営業日終値 99*20.0 4.0840
0 %
2年債(指標銘柄) 17時05分 99*27.3 3.9515
8 %
前営業日終値 99*23.7 4.0120
5 %
終値 前日比 %
ダウ工業株30種 42865.77 -1.10 0.00
前営業日終値 42866.87
ナスダック総合 19615.88 -99.11 -0.50
前営業日終値 19714.99
S&P総合500種 6022.24 -16.57 -0.27
前営業日終値 6038.81
COMEX金 8月限 3343.7 +0.3
前営業日終値 3343.4
COMEX銀 7月限 3626.1 ‐38.1
前営業日終値 3664.2
北海ブレント 8月限 69.77 +2.90
前営業日終値 66.87
米WTI先物 7月限 68.15 +3.17
前営業日終値 64.98
CRB商品指数 303.0927 +3.7545
前営業日終値 299.3382