世銀、25年世界成長率予測2.3%に下方修正 貿易摩擦巡る不確実性で

6月10日、世界銀行は最新の世界経済見通しで、2025年の世界実質国内総生産(GDP)成長率予測を2.3%と、当初の予測から0.4%ポイント引き下げた。上海で4月13日撮影(2025年 ロイター/China Daily)
Andrea Shalal
[ワシントン 10日 ロイター] - 世界銀行は10日公表した最新の世界経済見通しで、2025年の世界実質国内総生産(GDP)成長率予測を2.3%と、当初の予測から0.4%ポイント引き下げた。関税引き上げと不確実性の高まりがほぼ全ての経済にとって「大きな逆風」になっているとした。
今年1月のトランプ米大統領就任の6カ月前に予測していた水準から、米国、中国、欧州、および6つの新興市場地域を含む全経済の約70%の見通しを下方修正した。
同報告書では景気後退(リセッション)を予測するには至らなかったものの、25年の世界経済成長は08年以降、リセッション時期を除けば最も弱いものになると指摘。27年までに世界のGDP平均成長率はわずか2.5%にとどまると予想した。
世銀は、世界経済の見通しは1月以降、先進国の成長鈍化を主因として「大幅に悪化」したと指摘。先進国の現在の経済成長率見通しは1.2%と、24年の1.7%から減速した。
米国の成長率予測は1.4%と、1月時点の予測から0.9%ポイント下方修正したほか、ユーロ圏も0.7%と0.3%ポイント引き下げ、日本も0.7%と0.5%ポイント引き下げた。
25年の世界貿易の成長率見通しについても、24年の3.4%から1.8%に下方修正した。この見通しは、ほとんどの国・地域を対象とした全ての輸入品に対する一律10%の基本関税を含む、5月下旬時点で有効な関税に基づいている。
世銀は、関税引き上げと労働市場の逼迫を背景に、25年の世界のインフレ率は2.9%に達し、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以前の水準を上回ると指摘。「世界経済の見通しに対するリスクは依然として明らかに下振れ傾向にある」とした。