独主要シンクタンク、25年成長率を上方修正 財政拡張寄与

6月12日、ドイツの主要シンクタンク、キール世界経済研究所(IfW)とライプニッツ経済研究所(RWI)は2025年と26年のドイツの成長率予測を上方修正し、今年は2年続いたマイナス成長からプラス成長に転換すると見込んだ。写真は2024年4月、独フランクフルトで撮影(2025年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
Maria Martinez
[ベルリン 12日 ロイター] - ドイツの主要シンクタンクは12日、2025年と26年のドイツの成長率予測を上方修正し、今年は2年続いたマイナス成長からプラス成長に転換すると予想した。
キール世界経済研究所(IfW)は、第1・四半期のプラス成長を受け、25年の成長率予測を横ばいからプラス0.3%に引き上げた。
「ドイツ経済はトンネルの先に光が見えている」と指摘し、26年の予測も1.5%から1.6%に引き上げた。
ライプニッツ経済研究所(RWI)は、今年の成長率を0.3%、26年は1.5%と予測。予測責任者のトルステン・シュミット氏は、短期的には貿易政策の不確実性が重しになるが、年後半には緩やかに回復すると予想した。メルツ政権に景気支援の公約実行を求めた。
IFO経済研究所は今年の成長率を0.2%から0.3%に、26年は0.8%から1.5%に上方修正した。予測責任者のティモ・ボルマーショイザー氏は、ドイツ経済は冬に間に底を打ったと指摘し、メルツ新政権が発表した財政措置が成長回復の一因とした。財政規律の緩和、5000億ユーロのインフラ基金、国防費増額などの押し上げ効果は今年が0.1%ポイント、来年は0.7%ポイントと試算した。
インフレ率については、今年が2.1%、来年は2.0%で欧州中央銀行(ECB)の目標を達成すると予想。失業率は今年6.3%に上昇するが、来年は6.1%に低下すると予測した。
ハレ経済研究所(IWH)は、今年の成長率を0.1%から0.4%に引き上げた。来年は1.1%と予測した。
<関税の逆風>
IFOは、米関税による下押しを今年が0.1ポイント、来年は0.3ポイントと予想。米と合意できれば成長が加速し、事態が悪化すれば再びリセッションに陥る可能性があると指摘した。
IWHのマクロ経済部門の責任者オリバー・ホルテメラー氏も、米貿易摩擦が深刻化すればドイツ経済にとって多大なリスクになると指摘。「米中の経済的対立で、両国と密接なつながりがあるドイツ製造業は格別バランスを取った対応が求められている」と述べた。
経済協力開発機構(OECD)は12日公表した対独経済審査報告で、ドイツ政府は構造改革によって経済を成長軌道に戻す必要があると指摘した。投資と消費が成長をけん引する一方、輸出が足かせになるとし、今年の輸出は0.3%減少、来年は0.6%の増加と予想した。成長率については先週発表した予測(25年=0.4%、26年=1.2%)を示した。