インタビュー:ポートフォリオ再構築の重要局面、円債投資を本格化=りそなHD社長

りそなホールディングスの南昌宏社長(写真)は、日本の金利が動き始めた現在の経済環境を中長期的なポートフォリオ(資産配分)再構築の重要な局面と位置づけ、円債への投資を本格化させ、収益力の向上につなげる方針を示した。5月27日、東京で撮影(2025年 ロイター/Miho Uranaka)
Miho Uranaka
[東京 2日 ロイター] - りそなホールディングスの南昌宏社長は、日本の金利が動き始めた現在の経済環境を中長期的なポートフォリオ(資産配分)再構築の重要な局面と位置づけ、円債への投資を本格化させ、収益力の向上につなげる方針を示した。
南社長はロイターのインタビューで、4月から5月にかけて金融市場が大きく動いた中でも市場部門における総合損益は悪化していないと説明。その上で「含み損とのバランスを慎重に見極める必要はあるが、いまは中長期的なポートフォリオを再構築する上で非常に重要なタイミング」と語った。
りそなHDの総資産は2025年3月末時点で約77兆円で、貸出と有価証券に預金残高の86%を振り向けている。22年3月末の77%からは回復したものの、他行より低い上、日本国債の保有は約4.5兆円にとどまる。約19兆円ある日銀当座預金とのバランスも見極めつつ、運用サイドへ資金を振り向ける余地があると判断しているという。
南社長は、国内の安定した預金基盤を生かし、円債投資を一段と積極化する構えを見せる。中長期債を中心に、特に償還期間が短めの5年債に妙味があると指摘、すでに積み増しを進めているという。こうした取り組みを通じて、資産と負債を総合的に管理する「アセット・ライアビリティ・マネジメント」(ALM)などの高度化を図り、持続的な収益力の向上につなげたい考えだ。
外債投資については、収益の悪化していた持ち高をすでに整理し、米ドル資産の価値がここ数カ月で下落する前から資産構成の見直しを進めてきた。南社長は「ドル離れなど新たな要因も加わり、金利の動きが読みづらくなっている」と指摘。政策や市場環境を慎重に見極めながら、持ち高を一方向に偏らせず柔軟に対応する方針を強調した。「米国を完全に離れるという考えはなく、一定のポジションは今後も維持する」と話した。
<金融デジタルプラットフォームの拡大へ>
南氏は、現在累計100億円規模の金融デジタルプラットフォーム事業の収益を、今後3年間で累計200億円規模まで拡大するという新たな目標も明らかにした。急速に進む金融のデジタル化を背景に、日常的な取り引きの積み上げを通じて継続的な収入を得る事業モデルを確立し、手数料収益の増加を目指す。
りそなHDは、口座開設や決済、融資、資産運用などが可能になる銀行アプリケーションやファンドラップの商品を、静岡銀行や横浜銀行など8銀行に提供している。
※インタビューは27日に実施しました。
(浦中美穂、Anton Bridge 編集:久保信博)