ベネズエラ原油輸出安定 制裁で対米供給減も中国向け増加

5月のベネズエラの原油輸出が、米国の経済制裁にもかかわらず横ばいだったことが分かった。写真は2024年4月、ラグアイラで撮影(2025年 ロイター/Leonardo Fernandez Viloria)
[3日 ロイター] - 5月のベネズエラの原油輸出が、米国の経済制裁にもかかわらず横ばいだったことが分かった。中国向け出荷の増加が、対米輸出の減少を相殺した。国営石油PDVSAの内部文書と船舶追跡データで明らかになった。
米財務省と国務省は3月、PDVSAの顧客と提携企業に対し、ベネズエラ産原油輸出の認可を取り消した。両省は事業を5月27日までに停止するよう要請していた。
認可失効に加え、PDVSAが支払いの不確実性を理由に主要取引先の一つである米石油大手シェブロンへの一部貨物輸送をキャンセルしたことで、米国と欧州の顧客向け供給量が減少。一方、中国向けの出荷は仲介業者経由で増加した。
トランプ米政権は、ベネズエラが選挙改革や移民問題で進展を欠いているとして圧力を強化。一方同国のマドゥロ政権は、制裁を「経済戦争」とみなし、反発している。
文書などによると、5月は合計30隻の船舶がベネズエラから出港。原油と精製品を日量平均77万9000バレルと、石油化学製品など29万1000トンを積載した。同国産原油の最大輸入国は中国で、日量約58万4000バレル(前月は同52万1000バレル)を調達。米国は同約14万バレル(前月は同13万バレル)だった。