日銀24年度決算、国庫納付金は歴代2位の高水準 国債評価損は膨張

5月28日、 日銀が発表した2024年度決算によると、当期剰余金が前期比1.0%減の2兆2642億円となった。日銀本店で1月撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Takahiko Wada
[東京 28日 ロイター] - 日銀が28日に発表した2024年度決算によると、当期剰余金が前期比1.0%減の2兆2642億円となった。これを踏まえた国庫納付金は2兆1510億円で、新日銀法が施行された1998年以降、歴代2位の高水準だった。保有する国債の利息収入や上場投資信託(ETF)の分配金収入が下支えした。
金利の上昇で保有国債の評価損は28兆6246億円と、24年3月末の9兆4337億円を大幅に上回った。評価損は償却原価法を採用した04年度以降で最大だが、期間損益には影響しない。株安により保有する上場投資信託(ETF)の評価益は32兆8712億円と24年3月末の37兆3120億円を下回った。
<超過準備への付利、6.6倍に>
24年度の損益では、保有国債の利息収入が2兆0774億円で前年度の1兆7124億円を上回った。ETFの分配金収入は1兆3826億円で、こちらも前年度を上回った。
一方で、為替差損益は908億円の損失。大幅な円安で1兆3021億円の差益が出た23年度からは様相が一変した。24年度に2回利上げしたことで、超過準備への付利は1兆2517億円と23年度の1887億円の6.6倍に膨らんだ。
収益の振れをならすため、債券取引等損失引当金に4727億円を計上した。引当率を23年度の75%から初めて100%に引き上げたが、超過準備への利払いが大幅に増えたことで、会計規程により引当金の額は23年度の9227億円を大きく下回った。
昨年8月から国債買い入れの減額を進めたことで、3月末時点の保有国債は前年比2.3%減の575兆9308億円。保有国債の減少は21年度末以来3年ぶり。このうち長期国債は574兆2275億円で16年ぶりに減少した。
日銀は金融危機時に買い取った株式について順次売却を進めているが、3月末の残高は369億円。目標とする今年度末までの売却完了が視野に入った。