東レ、今期の純利益5.2%増予想 関税影響150億円織り込む

東レは14日、2026年3月期通期の連結純利益(国際会計基準)が前年比5.2%増の820億円になるとの見通しを発表した。写真は同社のロゴ、フランスで3月撮影(2025年 ロイター/Benoit Tessier)
Kentaro Okasaka
[東京 14日 ロイター] - 東レは14日、2026年3月期通期の連結純利益(国際会計基準)が前年比5.2%増の820億円になるとの見通しを発表した。IBESがまとめたアナリスト12人の純利益予想の平均値1058億円を下回った。年間配当予想は前年から2円引き上げ20円とした。
米国の関税政策については、需要減少による影響として150億円を事業利益のマイナス要因に織り込んだ。首藤和彦副社長は記者会見で、不確実性が高く事業ごとの影響額を把握できる状況にないとし「動向をしっかり踏まえて(影響を)精査し、四半期ごとにでも開示できるようにしていければと考えている」と語った。
東レは米ボーイングに炭素繊維を提供している。首藤副社長は、米政府が民間航空機や部品に対する追加関税賦課につながる可能性のある調査を開始したことに関しても、現時点では影響の想定は難しいとし「部品メーカーとも情報を共有しながら適切な対応を取っていきたい」と述べるにとどめた。
炭素繊維複合材料事業については、事業利益で同6%増の240億円を見込んだ。首藤副社長は「利益の改善が期待より少ないと言われてしまえばその通りかもしれない。ボーイングを中心にした航空用途ではサプライチェーン(供給網)の問題も含め、なかなか生産機が上がってこなかったということも大きな原因としてある。ただ、徐々に回復基調にある」と説明した。
併せて発表した25年3月期通期の連結純利益は同3.5倍の779億円だった。繊維事業の売上収益が初めて1兆円を超えた。