日産、生産能力と人員削減で純損益予想取り下げ 販売不振続く
11月7日、日産自動車は3000億円の黒字を予想していた2025年3月期の連結純損益を未定に変更した。写真は同社のロゴ。3月、ニューヨークで撮影(2024年 ロイター/David Dee Delgado)
Nobuhiro Kubo
[東京 7日 ロイター] - 日産自動車は7日、米国や中国市場の販売不振で悪化した収益構造を改善するため、世界で生産能力を20%、人員を9000人削減すると発表した。費用の算定が困難とし、3000億円を予想していた2025年3月期の純損益予想を取り下げた。営業利益の見通しは7割引き下げた。
日産が今年度の業績見通しを修正するのは7月に続き2回目。ハイブリッド車の需要が高まる米国市場、電気自動車(EV)への急速な移行が進む中国市場で商品を投入できておらず、販売不振が続いている。特に米国は在庫を減らすため、販売奨励金が膨らんでいる。
通期の世界販売計画は365万台から340万台に引き下げた。北米を141万台から134万台に、中国を77万台から69万台に見直した。5000億円を見込んでいた連結営業利益は1500億円に下方修正した。IBESがまとめたアナリスト16人の予測平均値3593億円を下回った。
今年度の中間配当は見送り、期末配当は未定とした。
会見した内田誠社長は「販売計画がストレッチ過ぎたことは否定できない」と説明。「現在の業績悪化と市場環境を踏まえ、今後のいかなるビジネスの環境の変化にも柔軟、機敏に対応できるスリムで強靭な事業構造に再構築する」と語った。
販売不振を受け、世界で500万台程度ある生産能力を20%削減する。人員も9000人(連結の従業員数は24年3月末時点で13万3580人)減らす。生産ラインのスピードを落とすことで達成する。24年度比で固定費を3000億円、変動費を1000億円減らし、26年度までに年間販売350万台レベルで配当や成長投資を継続可能な収益構造にする。
内田氏は今月から報酬を半分返上する。12月1日付で販売と収益に責任を持つ「チーフパフォーマンスオフィサー」を任命する。来年1月と4月に経営体制を変更する。
4─9月期の連結業績は、営業利益が前年同期比90.2%減の329億円、純利益が同93.5%減の192億円だった。
自動車事業のネットキャッシュフローは9月末時点で約1兆3641億円。3月末から1819億円減少した。スティーブン・マー最高財務責任者(CFO)は「健全な水準」としつつ、「上期はあまり望ましい形ではない。自動車事業でキャッシュを生み出す力をつけていかないといけない」と語った。
日産はこの日、三菱自動車工業の持ち株34%のうち10%を三菱自に売却すると発表した。内田社長は「三菱自動車の経営戦略をサポートする」ためだとし、キャッシュフローのためではないと説明した。
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