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トヨタ、ベア1300円で前年割れ 家族手当含む賃金改善は2400円
3月15日、2017年の春季労使交渉(春闘)で、賃金相場のリード役となるトヨタ自動車は、家族手当の上積み分を含む賃金改善は月額2400円で合意したと発表した。写真は同社のロゴ。都内で2月撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[豊田市 15日 ロイター] - 2017年の春季労使交渉(春闘)で、賃金相場のリード役となるトヨタ自動車<7203.T>は15日、従業員の基本給を底上げするベースアップ(ベア)に相当する改善分は月額1300円で回答した。ベア実施は4年連続だが、昨年実績を200円下回った。
ベアとは別に、家族手当分として月1100円の賃金改善を実施する。2021年1月までに4年かけて段階的な引き上げを予定していた家族手当の子供1人当たり単価引き上げを今年4月に前倒しする。定期昇給分を合わせた組合員平均の昇給は月額9700円となる。
賞与は労組の要求通り6.3カ月分(前年7.1カ月分)を回答した。一時金の満額回答は7年連続。
上田達郎常務役員は同日の豊田市本社で記者団に対し、今期業績予想が減益で来期以降もなかなか見通しにくい中、事業を取り巻く環境などを考慮すると「なかなか昨年並みのベアは難しい」とした上で、今回の回答結果は従業員の働く活力、日本経済への貢献などから総合的に判断した、と述べた。
家族手当については、お金のかかる子育て世代には「直ちに効き目がある施策」になるほか、子供を産んでも働きたい人への支援になるようなメッセージとの考えを示した。
自動車大手の労組は足並みをそろえて昨年と同額の月3000円のベアを要求していたが、日産自動車<7201.T>は1500円(昨年は3000円)で決着するなど厳しい交渉となった。今年の春闘を巡っては安倍晋三首相が産業界に「少なくとも昨年並みの賃上げ」を要請していたが、事業環境の先行き不透明感が強い中で経営側は長期的な人件費増加につながる高水準のベア実施には慎重で、官製春闘は限界を迎えつつある。
*内容を追加します。
(志田義寧、白木真紀)