コラム

日本も世界も混沌としているのは●●のせい

2022年01月28日(金)17時05分
医者と建築家と政治家

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<昔からそういうものだと言えるかもしれないが......>

【最古の職業】
医者と建築家と政治家が「世界最古の職業とは何か?」というテーマで議論していた。

医者が言った。

「神はアダムの肋骨からイブをつくった。これは外科手術であり、医者の仕事と言えよう」

建築家が言った。

「神はその前に、混沌の中から世界を構築した。これは建築家の仕事である」

すると政治家がニンマリと笑いながら言った。

「それではその混沌をつくったのは、いったい誰なのかね?」

◇ ◇ ◇

政治家の全てが「混沌を生む存在」ではないだろうが、近年の政治情勢を鑑みるに、こんなジョークの一つも言いたくなる。

ただし、このジョークは20世紀の冷戦時代から世界各地で楽しまれてきた古典的なものだから、昔から「政治とはそういうもの」とも言える。

その上で記すが、2021年も実に多くの混沌が生まれた。その中には、まさに政治家自身から発せられた混沌も少なくなかったように思う。

「給付を現金にするかクーポンにするか」という問題で永田町もメディアも大騒ぎになったが、なんと余計な混沌であったことか。

同じく連日にわたって議論の俎上に上がっていた「文書交通費の問題」も結局、法改正は見送りとなった。与野党への国民の信頼は、より失墜したであろう。

ちなみに、世界のジョーク界では「キシダ・ジョーク」はまだ生まれていない。菅義偉前首相もそうであったが、存在感やキャラクターが確立されなければジョークの登場人物にはなれない。

国際政治ジョーク界における日本の存在感はもとより低いが、安倍政権時代にはまだ「登場シーン」があった。しかし、その後は出番が激減している。日本の総理が「端役」では寂しい。

どんどん混沌とする世界

国際情勢に目を転じれば、混沌はそのスケール感を一挙に増す。

中国は大国化への過程の中で、いよいよ覇権主義を隠さなくなっている。2月からは北京で冬季オリンピックが始まるが、米紙ワシントン・ポスト(電子版)は新疆ウイグル自治区などでの中国政府による人権弾圧を批判して、「ジェノサイド(民族大量虐殺)五輪」と命名した。

「平和の祭典」はまさに混沌の坩堝(るつぼ)と化しそうだ。

プロフィール
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米英欧など18カ国、ハマスに人質解放要求 ハマスは

ビジネス

米GDP、第1四半期は+1.6%に鈍化 2年ぶり低

ビジネス

米新規失業保険申請5000件減の20.7万件 予想

ビジネス

ECB、インフレ抑制以外の目標設定を 仏大統領 責
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP非アイドル系の来日公演

  • 3

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗衣氏への名誉棄損に対する賠償命令

  • 4

    心を穏やかに保つ禅の教え 「世界が尊敬する日本人100…

  • 5

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 6

    未婚中高年男性の死亡率は、既婚男性の2.8倍も高い

  • 7

    やっと本気を出した米英から追加支援でウクライナに…

  • 8

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 9

    自民が下野する政権交代は再現されるか

  • 10

    ワニが16歳少年を襲い殺害...遺体発見の「おぞましい…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこ…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 9

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 10

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story