コラム

子供に「戦争はなぜ起こる?」と聞かれたとき、ある夫婦は......

2021年11月01日(月)11時00分
両親と子

ILLUSTRATION BY AYAKO OCHI FOR NEWSWEEK JAPAN

<その答えは、簡単でした>

【戦争の原因】
男の子が父親に質問をした。

「戦争ってどうして起きるの?」

父親はうれしそうにうなずきながらこう口を開いた。

「なるほど。君もそんな質問をする年頃になったか。とても良い問題意識だよ。お父さんもしっかり考えて答えることにしよう」

父親はしばらく考えてから、再び話し始めた。

「例えば、アフガニスタンがアメリカを攻撃したとするだろう? そうするとアメリカは反撃をする。それにアフガニスタンが再び攻撃をすれば......」

すると、それまで話を脇で聞いていた母親がこう言った。

「あなた、それは少しおかしくない? どうしてアフガニスタンなの? それは偏見というものよ」

父親は渋い顔をした。

「僕はそういう意味で言ったんじゃない。分かりやすいように喩(たと)え話をしただけだ」

「アフガニスタンという実名を使う必要はないわ」

「いちいち、うるさいな」

「うるさいとは何よ」

2人の口論はどんどん激しくなっていった。そして、ついには物を投げ合うほどの大げんかにまで発展したのである。

すると、男の子が言った。

「やめてよ。もういいんだ。僕、どうして戦争が起きるのか、よく分かったから」

◇ ◇ ◇

2001年9月11日、米同時多発テロが勃発したその日、私は東欧のルーマニアで暮らしていた。

40度近い高熱によってちょうど自宅でうなされていた私は、旅客機が高層ビルに突っ込む映像を「映画? それとも悪夢?」などとぼんやり思いながら眺めた。

ニュース番組では「ヒロシマの恨みを晴らすために日本がカミカゼをやったのではないか」といったコメントが少なからずあった。古今東西、テレビのコメンテーターほどいいかげんな者はいない。

その後、米軍はアフガニスタンに侵攻。タリバン政権を瓦解させた。

学校でけんかは起きないの?

それから20年。米軍はついにアフガニスタンへの駐留を終了した。

バイデン米大統領は「この終わりなき撤退を延長させるつもりはなかった」として、自らの判断は正しかったと強調。一方のタリバンは「勝利」を宣言した。

プロフィール
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

焦点:25年下半期幕開けで、米国株が直面する6つの

ワールド

日米豪印、4月のカシミール襲撃を非難 パキスタンに

ビジネス

米ゴールドマン、投資銀行部門グローバル会長にマライ

ワールド

気候変動災害時に債務支払い猶予、債権国などが取り組
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。2位は「身を乗り出す」。では、1位は?
  • 4
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 7
    世紀の派手婚も、ベゾスにとっては普通の家庭がスニ…
  • 8
    ワニに襲われた直後の「現場映像」に緊張走る...捜索…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    あり?なし? 夫の目の前で共演者と...スカーレット…
  • 1
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 8
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story