香港デモへの頑なな強硬姿勢は、むしろ中国の共産党体制を危うくしている
中国が手荒な行動に出れば、アメリカやイギリスがさまざまな政治的・経済的制裁を行うことは避けられないだろう。その場合、中国が被る打撃は米中貿易戦争の比ではない。
おまけに、中国の経済成長はここにきて鈍化している。生産年齢人口の減少を考慮すれば、この傾向はおそらく今後も続く。経済成長を正統性の源泉にする共産党政権は、経済がさらに減速することは避けたいはずだ。
私がいつも不可解に思うのは、中国指導部をさいなむ不安感の強さだ。これまで数十年にわたり目覚ましい成功を収めてきた中国政府なら、意思決定への国民の参加を少しずつ拡大させていくことで、無理なく正統性を獲得できたかもしれない。
古代中国の思想家・老子の「堅くて強い木は折れやすい」という言葉を習も知っているはずだ。いま香港のデモ隊の要求をある程度受け入れれば、共産党体制が「折れる」日を遠ざけられるかもしれない。
しかし残念ながら、習は「柔軟にしなる木」になるつもりなど毛頭なさそうだ。
<2019年9月3日号掲載>
 
※9月3日号(8月27日発売)は、「中国 電脳攻撃」特集。台湾、香港、チベット......。サイバー空間を思いのままに操り、各地で選挙干渉や情報操作を繰り返す中国。SNSを使った攻撃の手口とは? 次に狙われる標的はどこか? そして、急成長する中国の民間軍事会社とは?
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