コラム

人口減少より人口爆発、2055年に100億人になると何が起こるか

2018年07月03日(火)18時45分

magSR180703-chart2.png

本誌7/10号「2055年危機 100億人の世界」特集より

同じくイギリスの清教徒たちが初めて北米大陸に上陸した1620年、アメリカの大地は東海岸から2000キロ先のミシシッピ川までびっしりと森に覆われていた。しかし入植者たちが木を切り倒したため、20世紀にはだだっ広い平原と化していた。

地中海沿岸とアメリカがたどった道は多くの面において、近代における人口爆発の避けられない結果だ。2000年前の地中海の人口は4000万人だったが、今では4億3000万人。アメリカの人口は、白人の入植以前は数百万人程度だったが、今は3億2400万人もいる。

地球は悲鳴を上げている。私たちはエネルギーや水の消費などによって地球の資源に負担を掛け続け、ついに人間の生活を支えてくれるこの星の能力の限界を超えてしまった。

世界の人口は毎年8300万人も増えている。西暦1世紀頃の世界人口は、2億人程度で安定していた。それが18世紀には6億8000万人まで増えた。当時は早死にする人が多かったので、一家族の人数は多かった。農作業をしたり、老人の世話をしたりするのに大家族である必要があったし、そもそも「家族計画」という考え方は存在しなかった。大半の人々が必要最低限の生活を送り、しばしば飢饉に見舞われていた。

しかし18世紀には医療が進歩し、農業の生産性が向上したため、人口の増加に勢いがついた。1800年には10億人、1987年には50億人、2011年には70億人の大台を超えた。

「金持ちはさらに金持ちになり、貧乏人は子だくさん」とよく言われる。これは正しい。ヨーロッパ、北アメリカ、オーストラリア、日本(そして現在の中国)といった豊かな国はおしなべて出生率が下がり、遠からず人口減少という事態が待ち受けている。

今後数十年で増加する世界人口の50%以上はアフリカに集中する。また全世界の人口増加分の50%以上はインド、ナイジェリア、コンゴ(旧ザイール)、パキスタン、エチオピア、タンザニア、アメリカ、ウガンダ、インドネシアの9カ国が占める。唯一の先進国であるアメリカでさえ環境、社会ストレス、経済成長の釣り合いを取ることに苦労するはずだから、ほかの国では社会、経済、政治への負荷はより深刻だろう。

【参考記事】人口爆発 アフリカ人からの「反論」

(参考情報:YouTube-American Museum of Natural History)

180710cover-150.jpg<先進国の少子化どころじゃない。人類の大問題は人口減少よりむしろ人口爆発だ。本誌7/10号(7/3発売)「2055年危機 100億人の世界」特集では、資源、環境、ゴミ問題がどうなるかを検証。人口爆発が顕著なアフリカからの「反論」を掲載し、火星移住の現実味も探った>

ニューズウィーク日本版 「外国人問題」徹底研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月27号(1月20日発売)は「『外国人問題』徹底研究」特集。「外国人問題」は事実か錯覚か。移民/不動産/留学生/観光客/参政権/社会保障/治安――7つの争点を国際比較で大激論

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


プロフィール

グレン・カール

GLENN CARLE 元CIA諜報員。約20年間にわたり世界各地での諜報・工作活動に関わり、後に米国家情報会議情報分析次官として米政府のテロ分析責任者を務めた

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ウクライナ2都市にロシアが攻撃、和平協議直後

ビジネス

乳児ボツリヌス症の集団感染、バイハート社の粉ミルク

ワールド

北朝鮮抑止「韓国が主な責任」、米国防総省が関与縮小

ワールド

トランプ政権のEVインフラ助成金停止は違法、米地裁
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:「外国人問題」徹底研究
特集:「外国人問題」徹底研究
2026年1月27日号(1/20発売)

日本の「外国人問題」は事実か錯誤か? 7つの争点を国際比較で大激論

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な一部」ではないと指摘
  • 3
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味を帯びる「超高齢化」による「中国社会崩壊」
  • 4
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 5
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 8
    コンビニで働く外国人は「超優秀」...他国と比べて優…
  • 9
    老化の9割は自分で防げる...糖質と結び付く老化物質…
  • 10
    3年以内に日本からインドカレー店が消えるかも...日…
  • 1
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な一部」ではないと指摘
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 6
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 10
    韓国が「モンスター」ミサイルを実戦配備 北朝鮮の…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story