コラム

高市早苗氏はなぜ敗北したか―ネット保守の過激すぎる応援がアダに

2021年10月01日(金)21時42分

パーソルR&Dとしての売り上げは、「帝国データバンク」によると185億円(2021年3月決算)とある。その後の資本関係の変化により単純比較はできないものの、日本端子と日本テクシード(当時)は大差のない中堅企業という事が出来よう

これを以て、日本端子だけが河野洋平氏と中国の特別な関係性にある、とするのは些か行き過ぎた解釈ではないか。そもそも、前述した有本氏も平井氏も、「~ではないか」「~推測は成り立ちうる」と記述しており、断定していない。何故かと言えば、河野洋平氏の"政治力"によって日本端子が中国と特殊な関係性を持つ根拠は何もなく、日本端子以外の中堅企業が、すでに例示した通り山のように中国に進出しているからだ。

このような薄弱なエビデンスだけでは、日本端子・河野洋平氏と中国との特殊関係を説明することは出来ず、よって根拠がないため報道されない。しかしこの大メディアの姿勢を「河野氏に忖度した偏向報道である」とネット保守は一斉に叩いた。そして「~ではないか」「~推測は成り立ちうる」というあくまで断定していない記事や番組内容を根拠として、ネット保守は「クロ」と決めつけ河野批判を強めた。ちなみに夕刊フジの報道(2021.09.27)では、


"(9月)21日の閣議後記者会見で、「中国進出が悪いわけではないが、河野政権になれば中国から格別に優遇されたり、逆に嫌がらせを受ける可能性もある。中国に毅然(きぜん)と対応できるのか」と質問した。河野氏は「私の政治活動に影響を与えることはない」と即答した。"

とする。恐らく事実は河野氏の答弁通りなのであろう。ところがネット保守は現在に至るまでこの日本端子疑惑を取り上げ、根拠薄弱なまま河野氏批判を展開している。

7】「疑惑」から「デマ」へ

総裁選期間中、高市応援とセットになって展開された河野批判には、完全な間違いも目立った。ひとつは、2019年8月の日中韓外相会談時の写真である。これは河野氏自身が外務大臣として参画したものを自身のツイッターで披瀝しているものだが、これに問題があるとして、ネット番組「文化人放送局」でコメンテーターを務める加藤清隆氏が2021年9月22日(総裁選投開票7日前)に、次のようにツイートしてネット保守が猛烈にリツイートした。


"河野太郎氏が中国人と撮った写真で、河野氏が「天安門バッジ」や「毛沢東バッジ」を付けているものが出てきた。本来、両バッヂは中国共産党員しか付けられないはず。この写真が合成ではないとしたら、なぜ付けていたのか、河野氏にしっかり説明してもらう必要がある。"

プロフィール

古谷経衡

(ふるや・つねひら)作家、評論家、愛猫家、ラブホテル評論家。1982年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。2014年よりNPO法人江東映像文化振興事業団理事長。2017年から社)日本ペンクラブ正会員。著書に『日本を蝕む極論の正体』『意識高い系の研究』『左翼も右翼もウソばかり』『女政治家の通信簿』『若者は本当に右傾化しているのか』『日本型リア充の研究』など。長編小説に『愛国商売』、新著に『敗軍の名将』

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米1月PPI、前月比0.5%上昇に伸び加速 関税転

ビジネス

ネトフリ12%超上昇、WBD買収断念を好感 パラマ

ワールド

クリントン氏、エプスタイン氏の犯罪「全く知らず」 

ワールド

パキスタンとアフガニスタンの衝突再燃、周辺国や中ロ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
特集:日本人が知らない AI金融の最前線
2026年3月 3日号(2/25発売)

フィンテックの進化と普及で、金融はもっと高速に、もっとカジュアルに

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力空母保有国へ
  • 2
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからくりとリスク
  • 3
    中国で今まで発見されたことがないような恐竜の化石が発見される...ほかの恐竜にない「特徴」とは
  • 4
    ウクライナが国産ミサイル「フラミンゴ」でロシア軍…
  • 5
    がん治療の限界を突破する「細菌兵器」は、がんを「…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    トランプがイランを攻撃する日
  • 8
    住宅の4~5割が空き家になる地域も......今後30年で…
  • 9
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 10
    習近平による軍部粛清は「自傷行為」...最高幹部解任…
  • 1
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医師がすすめる意外な健康習慣
  • 2
    「水道水」が筋トレの成果を左右する...私たちの体には濾過・吸収する力が備わっている
  • 3
    村瀬心椛は「トップでなければおかしい」...スノボの謎判定に「怒りの鉄拳」、木俣椋真の1980には「ぼやき」も
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    少女買春に加え、国家機密の横流しまで...アンドルー…
  • 6
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 7
    「#ジェームズ・ボンドを忘れろ」――MI6初の女性長官…
  • 8
    カビが植物に感染するメカニズムに新発見、硬い表面…
  • 9
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 10
    米国の中国依存が低下、台湾からの輸入が上回る
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 5
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 6
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 7
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story