コラム

世界ベスト2位の韓国人、潘基文

2009年07月02日(木)15時26分

 潘基文(バン・キムン)は「遊び半分」の国連事務総長であり「世界で最も危険な韓国人」だと、ジェーコブ・ハイルブラン(ナショナル・インタレスト誌シニアエディター)はフォーリン・ポリシー誌最新号に書いた。だが多くの人々はいまだに潘が好きなようだ。

 米世論調査機関ワールド・パブリック・オピニオンの最新の調査によると、潘はバラク・オバマ米大統領に次いで世界で2番目に信頼されているという。


 国連事務総長は世界の国家指導者の大半より概ね支持率が高い。調査を実施した20カ国の平均では、彼を「信頼する」との評価が40%で「信頼しない」の35%を上回った。11カ国で「信頼する」、7カ国で「信頼しない」がそれぞれ多く、2カ国で評価が二分した。

 この結果、潘は評価対象になった指導者のなかでオバマを下回り、メルケル(ドイツ首相)をわずかに上回った。
 
 潘の評価は特にアフリカとアジアで高く、アジアではほぼすべての調査国で肯定的な評価のほうが多かった(トップの韓国では90%)。インドネシアは例外で、評価が分かれた。ケニアでは70%、ナイジェリアでは69%という大多数がそれぞれ「信頼する」と回答した。

 イギリスやドイツ、フランスなど西ヨーロッパでは潘への信頼が厚いが、ポーランドとロシアでは信頼度が低く、ウクライナでは評価が二分した。アメリカ人の過半数(57%)は信頼しておらず、メキシコでは「信頼する」が「信頼しない」をやや上回った(38%対33%)。


 ハイルブランでなくても、これはおかしいと思うだろう。潘を信頼すると答えた回答者の大半が彼の業績を説明できるとはとても思えない。潘を擁護する論者ですら、彼の業績はメディアの注目をほとんど集めていないことを認めている。

 潘は多くの問題について意見を積極的に述べていない(見方を変えればメディアに十分報道されていない)が、だからこそ人々は彼に対して否定的な意見を持ちようがないのだ。

 一方で、国連関連ブロガーのブーンストラが述べているように、「バラク・オバマに次いで2位というのは──オバマの言葉は潘よりもう少し感動的だと誰もが認めると思うので──この韓国人にとっては上出来だ」。それなりに評価してあげるべきだろう。

──ジョシュア・キーティング
[米国東部時間2009年06月30日(火)16時58分更新]


Reprinted with permission from FP Passport, 2/7/2009. © 2009 by Washingtonpost.Newsweek Interactive, LLC.

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国際政治学者サミュエル・ハンチントンらによって1970年に創刊された『フォーリン・ポリシー』は、国際政治、経済、思想を扱うアメリカの外交専門誌。発行元は、ワシントン・ポスト・ニューズウィーク・インタラクティブ傘下のスレート・グループ。『PASSPORT:外交エディター24時』は、ワシントンの編集部が手がける同誌オンライン版のオリジナル・ブログ。

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