コラム

韓国のコロナ対策を称える日本に欠ける視点

2020年05月02日(土)16時35分

日本にはマイナンバー制度があるが個人情報の収集管理に対する抵抗が大きく、3月現在においてマイナンバーカードの交付率は15.5%と低い。マイナンバーをマスク購入の身分確認と重複購入のチェックのために使うとしたら、日本国民は抵抗なく受け入れるだろうか?

さらに、無視できないのが徴兵制だ。今回のコロナ対応に韓国政府は社会服務要員、軍人、公衆保健医という兵役義務を担う「若い男性」たちを動員した。社会服務要員とは軍役の代わりに居住地近隣の政府機関や公共施設で仕事をする人たちだが、彼らは薬局の人手不足を補うために投入され、軍人はマスク工場での包装や運搬作業のために動員された。

また、兵役の代わりに離島や山間地で医療活動を行う公保医たちは、コロナ感染被害が当初最も深刻な状況にあった大邱や慶尚北道地域に宿泊所も手配されていない状態で派遣された。1000人以上の公保医が劣悪な条件下で、だが最前線で奮闘していた。国家の命令による拒否できない動員が、韓国の「迅速な」対応を下支えしていたのだ。

最近の日本では、韓国の明るい部分だけに注目する人たちはむやみに韓国を称賛し、逆に暗い部分に注目する人たちは存在の全てを悪と断じて否定するという両極端に走る傾向があるように思う。だが、どんな事象にも表と裏は確かに存在する。

日本人にとってベストな選択は韓国のように対応することではなく、その裏に見えるものも冷静に観察することではないだろうか?

<2020年5月5日/12日号「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集より>

【参考記事】韓国製PCR検査キットが新型コロナから世界を救う日
【参考記事】日本のコロナ対策は独特だけど、僕は希望を持ちたい(パックン)
【参考記事】スマホは使うがパソコンは苦手──コロナ禍で露呈した日本の労働力の弱点

20050512issue_cover_150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年5月5日/12日号(4月28日発売)は「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集。パックン、ロバート キャンベル、アレックス・カー、リチャード・クー、フローラン・ダバディら14人の外国人識者が示す、コロナ禍で見えてきた日本の長所と短所、進むべき道。

プロフィール

崔碩栄(チェ・ソギョン)

1972年韓国ソウル生まれソウル育ち。1999年渡日。関東の国立大学で教育学修士号を取得。日本のミュージカル劇団、IT会社などで日韓の橋渡しをする業務に従事する。日韓関係について寄稿、著述活動中。著書に『韓国「反日フェイク」の病理学』(小学館新書)『韓国人が書いた 韓国が「反日国家」である本当の理由』(彩図社刊)等がある。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、加州知事を「敗者」と批判 英とエネ協定

ワールド

ウ大統領、ロの大規模攻撃準備を警告 ジュネーブ和平

ワールド

米長官、ハンガリーとの関係「黄金時代」 オルバン氏

ワールド

メキシコとカナダ、鉱物資源・インフラ巡り共同行動計
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したスーツドレスの「開放的すぎる」着こなしとは?
  • 2
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 3
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワートレーニング」が失速する理由
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 8
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 9
    フロリダのディズニーを敬遠する動きが拡大、なぜ? …
  • 10
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
  • 6
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 9
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 10
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story