コラム

大西卓哉宇宙飛行士「きれいごとではなく、僕らのリアルを知ってほしい」【独自インタビュー】

2025年03月14日(金)08時55分

──民間の宇宙関連事業については、どのように感じていますか。

大西 「民間の勢いって凄まじいな」と思っています。特に今、僕はスペースXに伺って訓練を受けたりしているので、彼らの開発のスピードとか、意思決定のスピードというのを肌で感じています。


──次に、宇宙開発が月や火星の有人探査を見据える時代になってきたということに関連してお話を聞かせてください。

2021年に作られた「宇宙飛行士候補者募集」のスペシャルムービーで、大西さんは「もう一度、国際宇宙ステーションに戻りたい」「自分たちは宇宙開発の最終的なゴールを次世代に託してお膳立てする世代だ」とおっしゃっていました。

その一方で、今回(24年4月)、アルテミス計画で日本人2人の月面着陸が正式に合意された時、大西さんは「選ばれるようにスキルを磨いています」と、JAXA宇宙飛行士の中で唯一と言っていいほど積極的な回答をされているのが印象的でした。現在は「宇宙開発激動の時代」と呼ばれていますが、数年前と比べて、ご自身や自分たちの世代の宇宙飛行士の仕事について、何か考えが変わりましたか。

大西 21年の頃と比べて一番違うのは、「月面に本当に2人の日本人の宇宙飛行士が立つ」というのが、今はもう明確に見えてきたことです。

当時はまだ本当に霧の中というか、アルテミス計画自体もまだそこまで具体的なことは決まっていませんでした。そのような状況で、「ましてや日本人なんていつ月に行けるの?」みたいな風土がありました。

なので、宇宙飛行士候補生としてJAXAに入る時は、「自分たちの世代は、国際宇宙ステーションに何回か行ってミッションをこなして、多分これから選ばれる人たちが実際に月面を目指していくんだろうな」みたいなイメージでした。

でも、今って本当に何ですかね、「月に日本人が2人行ける」というニュースを見て、僕自身すごく驚きました。「こんなふうに具体的に決まるんだ」って。もちろん、いい意味での驚きで、「自分たちの世代にもまだチャンスはあるのかな」とは正直思いました。

プロフィール

茜 灯里

作家・科学ジャーナリスト。青山学院大学客員准教授。博士(理学)・獣医師。東京大学理学部地球惑星物理学科、同農学部獣医学専修卒業、東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻博士課程修了。朝日新聞記者、大学教員などを経て第24回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。小説に『馬疫』(2021 年、光文社)、ノンフィクションに『地球にじいろ図鑑』(2023年、化学同人)、ニューズウィーク日本版ウェブの本連載をまとめた『ビジネス教養としての最新科学トピックス』(2023年、集英社インターナショナル)がある。分担執筆に『ニュートリノ』(2003 年、東京大学出版会)、『科学ジャーナリストの手法』(2007 年、化学同人)、『AIとSF2』(2024年、早川書房)など。

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