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日本が月面着陸に初成功、世界で5カ国目の快挙も「60点」評価のワケ...太陽電池が機能しないことによるミッションへの影響とは?
JAXA相模原キャンパスに展示された小型探査機SLIMの模型(2024年1月19日) Kim Kyung-Hoon-REUTERS
<月面着陸には成功したが、宇宙科学研究所の國中均所長は記者会見で「ギリギリ合格の60点」とコメント。太陽電池が機能しないことで、「世界初のピンポイント着陸」が成功したかの評価や、送られてくるデータの量にどのような影響があるのか。本ミッションの3つのポイントを概観する>
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は20日、小型月着陸実証機SLIMが日本初の月面着陸(ソフトランディング)に成功したと発表しました。
月面着陸はこれまで旧ソビエト(1966年)、アメリカ(同年)、中国(2013年)、インド(23年)が成功しており、日本は5カ国目となりました。
ただし、着陸成功から約2時間後に行われた記者会見では、SLIMに搭載した太陽電池が現時点で発電していないこと、バッテリーで駆動しているが電源は残り数時間しかもたない見込みであることも発表されました。
計画では、月の「昼」に太陽電池が作動し、機器が熱くなりすぎて電気系統などが機能しなくなるまでの数日間は、月の起源を探るために搭載された「マルチバンド分光カメラ(MBC)」で周囲のカンラン岩(カンラン石を豊富に含む岩石)の撮影を行う予定でした。
宇宙科学研究所の國中均所長は、今回のミッションについて記者会見で「100点満点でギリギリ合格の60点」とコメントしました。
着陸には成功したものの太陽電池が機能しないことで、SLIMが目標に掲げていた「世界初のピンポイント着陸」が成功したかの評価や、SLIMから送られてくるデータの量に、どのような影響があるのでしょうか。本ミッションの3つのポイントを概観しましょう。
1)世界初のピンポイント着陸は確認できるか
SLIMは、正式名の「Smart Lander for Investigating Moon」が示すように、①狙った場所へのピンポイント着陸と、②着陸に必要な装置の軽量化が開発目標です。
従来の月着陸の精度は数キロから10数キロでしたが、SLIMは世界初の100メートルオーダーを目指し、「『降りやすいところに降りる』から『降りたいところに降りる』着陸へ」をスローガンにしています。また、探査機は、高さは約2.4メートル、重さは燃料を除き約200キロと非常にコンパクトで、将来の高頻度の月探査を見越してコスト削減の観点から小型・軽量になっています。
昨年9月7日に種子島宇宙センターから打ち上げられ、月の重力を利用して軌道を変える月スイングバイを用いて省エネをしながら、12月25日に月周回軌道への投入に成功しました。1月20日午前0時頃に、高度15キロから着陸降下を開始。目的地点は「神酒(みき)の海」近くの「SHIOLI(シオリ)クレーター」付近です。この場所は、SLIMの高精度の着陸技術の実証と、着陸後に行うマルチバンド分光カメラでの科学観測に適した地点として選ばれました。
月にはGPSがないので、高精度の着陸を実現するために、SLIM自身が撮影した画像と事前に用意された月面の地図を照合しながら自分の位置を把握して、必要に応じて軌道修正するシステムを導入しました。さらに、着陸の成功率を高めるために、障害となる岩があった場合は、地上のオペレーターを介さずに自律的な判断で避けることができるようになっています。
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