コラム

シリアで勢力拡大する反中テロ──ウイグル独立派武装組織の危険な進化

2025年08月12日(火)09時52分

国際的な連携と戦闘員の移動

2024年12月、TIPの代表を含む3人の代表団がダマスカスからアフガニスタンのカブールへ移動し、タリバン暫定政権と外国人戦闘員の東方への移動について協議した。この動きは、TIPがシリアからアフガニスタンへの戦闘員移転を計画していることを示唆し、中央アジアや新疆ウイグルでの活動拡大を視野に入れている。

アフガニスタンでは、TIPはタリバンと協力関係を構築し、特に北部で治安維持や軍事活動に参加している。


組織の規模と構成

シリアにおけるTIPの戦闘員数は不明だが、アフガニスタンでは軍事的活動は活発ではなく、タリバンの制約を受けているとの見方もあるが、最大750人に達し勢力を拡大しているとの見解も聞かれる。

シリアでは、ダマスカスやハマ、タルツースにメンバーが分散配置され、HTSの軍事作戦に参加している。戦闘員は主にウイグル人だが、アフガニスタンでは中央アジア出身者も含まれており、構成が多様化している。

資金調達と武器供給

TIPの資金調達に関する詳細は限定的だが、中東の一部の国家が「東トルキスタン独立」を支持し、武器の調達や秘密裏の移転を支援しているとの指摘もある。これらの資金や武器は、シリアでの活動を支える重要な要素である。

また、TIPはアルカイダやHTSとの連携を通じて、武器や訓練の共有を受けている可能性がある。特に、ラタキアでの海上戦闘訓練は、外部支援がなければ実現困難なプログラムである。

プロフィール

和田 大樹

株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学講師(非常勤)。専門分野は国際安全保障論、国際テロリズム論など。大学研究者として国際安全保障的な視点からの研究・教育に従事する傍ら、実務家として海外進出企業向けに政治リスクのコンサルティング業務に従事。

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