- HOME
- コラム
- 世界のテロ情勢を読み解く
- アサド後の「真空地帯」──ISとアルカイダが舞い戻…
アサド後の「真空地帯」──ISとアルカイダが舞い戻るシリアの現実

アサド後のシリアの首都ダマスカスの通り(2024年12月31日) -shutterstock-
<シリアのアサド政権崩壊後の混沌とした状況を、イスラム国(IS)やアルカイダといったグローバルなジハード系テロ組織が上手く利用しようとしている>
今回は、シリア国内におけるテロ組織の動向とその影響について紹介する。
アサド政権崩壊後のシリア:新たなテロの温床
2024年末にバシャール・アサド政権が崩壊した後、シリアは政治的・軍事的空白地帯となり、テロ組織にとって格好の活動の場となっている。イスラム国とアルカイダは、アサド政権が保有していた重火器の備蓄を奪取し、混乱に乗じて勢力を拡大している。
特に、2025年3月のアレッポでの拘留者70人の脱獄を含む、計500人以上のテロ組織関連囚人の解放は、治安の悪化を象徴する出来事だ。これにより、両組織は新たな戦力を確保し、シリア国内での攻撃を強化している。
イスラム国は、シリアの砂漠地帯を中心に最大3000人の戦闘員を維持し、ダマスカス近郊やアレッポ、ホムス、南部地域にも小規模な拠点を構え、特に北東部のシリア民主軍(SDF)を標的にしている。
この地域には約400人のイスラム国戦闘員が活動しており、宗派間の緊張を煽るキャンペーンを展開している。一方、アルカイダの現地支部であるフッラース・アル・ディンは、約2000人の戦闘員を保持し、イドリブや沿岸部で新たな派閥を形成している。