アングル:エプスタイン元被告、中東政財界に強いパイプ 仲介や口先介入も
写真はジェフリー・エプスタイン元被告。2025年12月、米司法省が公開した画像。REUTERS
Jana Choukeir Andrew Mills Maha El Dahan
[ドバイ 19日 ロイター] - 米国で少女買春などの罪で起訴され、その後自殺した富豪ジェフリー・エプスタイン元被告は中東の政治家や企業リーダーらとの間で強力なネットワーク構築を図っていた。サウジアラビア国有石油会社サウジアラムコの上場計画にも「口先介入」したかのような形跡があることが米司法省が公開した資料で分かった。
この「エプスタイン問題」を巡っては、アラブ首長国連邦(UAE)ドバイの港湾大手DPワールドのスルタン・アハメド・ビン・スレイエム会長兼最高経営責任者(CEO)が辞任に追い込まれなど、中東全域に激震が走っている。
<カタール封鎖で「仲介」>
ロイターが入手した司法省の公開文書によると、2017年から21年にかけてサウジアラビアやUAE、バーレーン、エジプトがカタールの国境を封鎖した際、エプスタイン氏はカタールの企業リーダーや政治家らに助言を試みていた。カタールがイランとの外交を続け、テロを助長しているというのが封鎖理由だったが、カタール側はこれを否定している。
エプスタイン氏は、カタールの実業家で王族のシェイク・ジャボル・ユスフ・ジャシム・アールサーニー氏に対して「抵抗や議論をやめ」て「少し熱を冷ますべきだ」と促した。「現在のカタールチームは非常に弱い」とか、「外相は経験不足で、それが露呈している」などとも伝えていた。
その上でエプスタイン氏は、第1期在任中だったトランプ米大統領からの好感度を維持するためにイスラエルとの関係を構築するようにと助言。イスラエルの承認に向けて動くか、テロ被害者のための基金に10億ドルの拠出を約束するよう提案した。
結局、カタールは独立路線を堅持した。21年に国境を封鎖した国々との関係を再構築し、トランプ政権とカタールの関係は現在強固なものとなっている。
<アラムコのIPOに「口先介入」>
エプスタイン氏は、サウジの国有石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)についても数十通の電子メールを通じて議論していた。16年9月10日付のアジザ・アラハマディ氏宛てで、元ノルウェー外交官のテリエ・ロッド・ラーソン氏もCCに入ったメールでは、サウジアラムコがIPOを実施した場合にサウジアが訴訟や資産差し押さえのリスクにさらされる可能性があると警告していた。
17年10月16日付のアラマディ氏宛てのメールでは、サウジアラムコがIPOを実施するのではなく、1000億ドル分の同社株の購入オプションを中国に売却することを提案。これによって流動性を確保しつつ、公開市場への露出を制限できると訴えていた。
サウジアラムコはロイターによるメールに対するコメント要請に応じなかった。
<ムバラク家とつながりか>
米司法省が公開した文書によると、エプスタイン氏の影響力はエジプトにも及んでいた。一部のメールは、ムバラク元大統領の息子ガマル氏の夫人からの11年の支援要請について記されている。これはムバラク氏の失脚と、それに続く法的トラブルを受けたものだったが、どのような支援を求めたかは明記されていない。
ロイターはエプスタイン氏が介入を試みたかどうかを確認できなかった。
ガマル氏の弁護士ライオネル・ハルペリン氏はロイターのメール取材に対し、ムバラク家の誰もエプスタイン氏のことを知らず、直接間接を問わずいかなる支援も求めたり、受けたりはしていないと主張した。
ハルペリン氏によると、ロッド・ラーソン氏らは11年、エジプト情勢とムバラク家の状況をより深く理解するためガマル氏に接触を試みた。当時収監中だったガマル氏は、夫人に対して自身と家族に接触してきた人たちへ「感謝のメッセージ」を返送するよう依頼したとしている。
ハルペリン氏は、こうした経緯によって「数通の電子メール」がロッド・ラーセン氏に送られたと説明。その上で「ガマル氏は、なぜそうした電子メールの一部がエプスタイン氏のメールアドレスに転送されたのかの説明も受けていないし、経緯も知らない」とコメントした。





