コラム

【カシミールテロ】インド当局が国内ムスリムコミュニティへの監視強化か?一匹狼的なテロに懸念

2025年05月16日(金)11時56分
「カシミール・テロ」本当の脅威はこれから...パキスタンとの緊張より危険な「インド国内の分断」

パンジャブ州のアダムプール空軍基地を訪問したナレンドラ・モディ印首相(2025年5月13日)

<インドとパキスタンの軍事的緊張は高まるが、テロの本質的なリスクは、国内のムスリム社会と多数派ヒンズーとの関係にある。政治的締め付けと宗教的対立が新たな自発的テロを生む>

邦人も犠牲となった2008年ムンバイ同時多発テロ以来の大規模テロに直面したインドの今後の動向を考える。

ウクライナや中東で紛争が続く中、今後は南アジアで緊張が高まっている。4月下旬、インド北部ジャム・カシミール準州のパハルガム近郊で、外国人を含む観光客を標的とした銃撃テロが発生し、ヒンドゥー教徒の観光客など26人を殺害された。


実行したのはパキスタンの過激派組織とされ、外務省などの情報によると、パキスタンを拠点とするイスラム過激派ラシュカレ・タイバの分派組織とみられる「抵抗戦線(TRF)」が関与したというが、実行組織のベールが明らかにされることはない可能性が非常に高い。

それ以降、パキスタン政府が絡む国家テロと位置付けるインドは、パキスタン領内への攻撃を強化するなど、両国の間では軍事的な緊張が高まっている。国際社会は、核保有国同士の緊張に冷静を保つよう両国に促している。

プロフィール

和田 大樹

株式会社Strategic Intelligence代表取締役社長CEO、清和大学講師(非常勤)。専門分野は国際安全保障論、国際テロリズム論など。大学研究者として国際安全保障的な視点からの研究・教育に従事する傍ら、実務家として海外進出企業向けに政治リスクのコンサルティング業務に従事。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

韓国産業通商相、米通商代表に関税免除を要請 代表団

ワールド

EU、新たな対ロシア制裁を準備 欧州委員長が表明

ワールド

ロシアとウクライナ、和平に向け直接協議開始 3年ぶ

ワールド

トランプ氏が米ロ首脳会談に意欲、ロシア「不可欠だが
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ヤクザ専門ライターが50代でピアノを始めた結果...習い事、遅かった「からこそ」の優位とは?
  • 2
    宇宙の「禁断領域」で奇跡的に生き残った「極寒惑星」の正体とは?
  • 3
    戦車「爆破」の瞬間も...ロシア軍格納庫を襲うドローン攻撃の迫力映像 打撃は「400万ドル相当」とウクライナ国防省
  • 4
    対中関税引き下げに騙されるな...能無しトランプの場…
  • 5
    サメによる「攻撃」増加の原因は「インフルエンサー…
  • 6
    トランプに投票したことを後悔する有権者が約半数、…
  • 7
    「2025年7月5日天体衝突説」拡散で意識に変化? JAX…
  • 8
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 9
    人類は火星でどんな「家」に住むのか?...「最大の難…
  • 10
    終始カメラを避ける「謎ムーブ」...24歳年下恋人とメ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 3
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映った「殺気」
  • 4
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 5
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 6
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 7
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 8
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 9
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワ…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 8
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story