日韓首脳が「異例」の歩み寄り...共同文書の影に潜むリスクとは?【note限定公開記事】
Room for Cautious Optimism

米韓首脳会談に先立つ「異例」の日韓首脳会談では17年ぶりに共同文書を発表 POOL―ZUMA―REUTERS
<貿易や安全保障での協力を掲げ、関係改善に向けた第一歩を踏み出した日韓。だが歴史認識や台湾有事など、克服すべき課題はなお多い>
▼目次
1.米国より先に、日本を選んだ李在明大統領
2.日韓歩み寄りも、その陰で韓国が逃した好機
3.融和ムードの背後に潜む「台湾有事」と「歴史認識」
1.米国より先に、日本を選んだ李在明大統領
注目すべきタイミングだった。
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領が8月23~24日に訪日し、石破茂首相と会談。その後、米ワシントンでドナルド・トランプ米大統領と初の首脳会談を行った。
韓国の新大統領が、アメリカより先に日本の首脳と会談するのは異例のことだ。
この決断は李の現実的な外交アプローチを反映している。目標は隣国関係でバランスを取りつつ、日韓米3カ国の枠組みを強化することだ。
李は、朝鮮半島での過去の非道な行為に対する日本の責任を強調してきた革新派の指導者だが、石破との会談では未来志向の姿勢を示した。
首脳会談の後、両国は17年ぶりに共同文書を発表している。
現在の日韓関係の基盤になったのは、1998年10月に韓国の金大中(キム・デジュン)大統領と日本の小渕恵三首相が行った首脳会談だ。
両者は会談後、21世紀に向けた新たなパートナーシップ構築を誓う日韓共同宣言を発表。
日本の植民地支配によって韓国国民に「多大の損害と苦痛」を与えた歴史的事実を認識するとともに、和解に基づく未来志向の協力関係を発展させると表明した。
日韓共同宣言の中核は歴史認識と経済協力、安全保障協力だった。四半世紀以上が過ぎた今、日韓はより包括的で前進した宣言によって、2国間関係をさらに発展させる必要がある。
地政学的変化や国内政治を考えると、今回の共同文書発表は実にタイムリーで不可欠なものだった。
2.日韓歩み寄りも、その陰で韓国が逃した好機
トランプの米大統領再任とアメリカ・ファースト方針は、日韓への相互関税と併せて、アメリカの信頼性を損なっている。
一方、電気自動車(EV)や電池、AI(人工知能)分野での中国の急速な技術的台頭により、日韓の産業戦略は変化の時を迎えている。
国内事情に目を向けると、李は反日的で過度に中国寄りだと、政敵からの非難にさらされている。
こうした批判と闘うには、より大胆で対日友好的な外交政策に乗り出し、自身の外交戦略に対する保守派の不信感を取り除かなければならない。
石破の側にしても、外交的得点を挙げて世論の支持を勝ち取る必要がある。
こうした文脈では、円滑な連携は、日韓関係の再調整に貢献するだけではない。保護主義の台頭や、インド太平洋で激化する技術競争を緩和する、より強靭な地域秩序の土台作りにも役立つ。
今回の共同文書では、特定の協力分野に重きが置かれた。
この数年間、日韓米3国間ではサプライチェーン・マネジメントや経済安全保障分野の協力が強化されているが、2国間の政府レベルの共同作業や制度作りは進まなかった。
だが今回の首脳会談では、日韓で対応していくことでも一致。経済安全保障の脅威に対し、政策調整を助ける作業グループや協議の場を設ければ、積極的な意思疎通が促進される。
経済安全保障に焦点を当てたパートナーシップの制度化で、関税や貿易戦争に対する緩衝装置として機能し、双方の回復力を養うはずだ。
とはいえ、欠けているものもある。
◇ ◇ ◇
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【note限定公開記事】日韓首脳が「異例」の歩み寄り...共同文書の影に潜むリスクとは?
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