日米韓の三角関係を動かすか 李在明大統領「訪日先行」の戦略

日韓首脳会談に臨む李在明大統領(左)と石破茂首相 Kim Kyung-Hoon - REUTERS
<史上初の「日本先行外遊」は、孤立する指導者同士の選択だった?>
韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は去る8月23日、東京で石破茂首相と日韓首脳会談を行い、25日には米ワシントンD.C.でドナルド・トランプ米大統領と米韓首脳会談を行った。2つの首脳会談を通じて、李在明は日米韓3か国の連携を強調した。
就任後、訪米前に日本を訪れた韓国大統領は李在明が初めてだ。歴代大統領を振り返ると、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)、文在寅(ムン・ジェイン)はいずれも就任早々に訪米したが、訪日のタイミングは異なっている。盧武鉉と李明博は訪米直後に訪日し、文在寅は就任1年後の日中韓首脳会談が唯一の訪日。朴槿恵は任期中一度も訪日していない。
今回の日韓首脳会談では、両首脳が相互に訪問する「シャトル外交」の継続や、未来志向の安定的な日韓関係の維持で合意した。社会・経済分野では協力体制を構築し、交流と相互理解を促進するためワーキングホリデーの拡充を決定。安全保障分野では日韓、日米韓の連携を確認した。もっとも、ワーキングホリデー拡充を除けば、6月のカナダG7サミット時に行った首脳会談の内容を再確認するにとどまった。
李在明が訪米前に日本を訪れた背景には「トランプ対策」があるとの見方もある。第1次トランプ政権(2017〜2021年)の2018〜20年にかけて、日韓関係は1965年の国交正常化以来最悪の状態に陥っていた。
それを踏まえ、今回の米韓首脳会談でもトランプが「日韓間には歴史問題など非常に敏感な懸案があると聞いている」「慰安婦問題など非常に敏感な問題がある」と切り出した。これに対し李在明は「日本の石破茂首相と会って問題を整理した」「多くの障害が取り除かれた」と応じた。