最新記事
日韓関係

日米韓の三角関係を動かすか 李在明大統領「訪日先行」の戦略

2025年9月4日(木)18時25分
佐々木和義
握手をする韓国李在明大統領(左)と日本の石破茂首相

日韓首脳会談に臨む李在明大統領(左)と石破茂首相 Kim Kyung-Hoon - REUTERS

<史上初の「日本先行外遊」は、孤立する指導者同士の選択だった?>

韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は去る8月23日、東京で石破茂首相と日韓首脳会談を行い、25日には米ワシントンD.C.でドナルド・トランプ米大統領と米韓首脳会談を行った。2つの首脳会談を通じて、李在明は日米韓3か国の連携を強調した。

就任後、訪米前に日本を訪れた韓国大統領は李在明が初めてだ。歴代大統領を振り返ると、盧武鉉(ノ・ムヒョン)、李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)、文在寅(ムン・ジェイン)はいずれも就任早々に訪米したが、訪日のタイミングは異なっている。盧武鉉と李明博は訪米直後に訪日し、文在寅は就任1年後の日中韓首脳会談が唯一の訪日。朴槿恵は任期中一度も訪日していない。

今回の日韓首脳会談では、両首脳が相互に訪問する「シャトル外交」の継続や、未来志向の安定的な日韓関係の維持で合意した。社会・経済分野では協力体制を構築し、交流と相互理解を促進するためワーキングホリデーの拡充を決定。安全保障分野では日韓、日米韓の連携を確認した。もっとも、ワーキングホリデー拡充を除けば、6月のカナダG7サミット時に行った首脳会談の内容を再確認するにとどまった。

李在明が訪米前に日本を訪れた背景には「トランプ対策」があるとの見方もある。第1次トランプ政権(2017〜2021年)の2018〜20年にかけて、日韓関係は1965年の国交正常化以来最悪の状態に陥っていた。

それを踏まえ、今回の米韓首脳会談でもトランプが「日韓間には歴史問題など非常に敏感な懸案があると聞いている」「慰安婦問題など非常に敏感な問題がある」と切り出した。これに対し李在明は「日本の石破茂首相と会って問題を整理した」「多くの障害が取り除かれた」と応じた。

キャリア
AI時代の転職こそ「人」の力を──テクノロジーと専門性を備えたLHHのコンサルティング
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ICJ、ガザ・西岸でのイスラエルの義務巡り勧告的意

ビジネス

英CPI、9月3.8%で3カ月連続横ばい 12月利

ワールド

インドネシア中銀、予想外の金利据え置き 過去の利下

ワールド

台湾中銀、上半期に正味132.5億ドルのドル買い介
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 5
    米軍、B-1B爆撃機4機を日本に展開──中国・ロシア・北…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 8
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 9
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 10
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 6
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 7
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 8
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 9
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 10
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中