最新記事

自然

専門家も「プライベートでは訪れたくない」 世界でもっとも危険な火山はどこ?

Volcanoes to Note

2022年11月16日(水)18時22分
ロビン・ホワイト
ファグラダルスフィヤル火山

Instagram/@alberttourguideiceland/via REUTERS

<近年の活発な活動や噴火頻度の高さ......。特に甚大な被害を生みかねない、世界でも危険度が高い活火山とは?>

イタリア南部のストロンボリ火山が10月に噴火し、ハワイのマウナロア火山でも地震活動が活発化して山頂付近が閉鎖されるなど、人命に関わる可能性のある自然現象に警戒が高まっている。

■【動画】住宅に迫る溶岩、迫力満点のドローン映像...世界の火山噴火シーン集

米地質調査所(USGS)によると、世界には約1350の活火山がある。ただし、全ての活火山が最近も噴火しているわけではない。USGSの推定では、有史時代に噴火した活火山は世界全体で500ほどだ。

「活」火山という言葉が混乱を招きやすいと、英ランカスター大学の火山学者デイブ・マクガービーは語る。

実際に噴火している火山や、少なくとも溶岩湖でマグマが湧き出しているものを「活火山」、現在は静かだが、いずれ噴火する可能性が極めて高いものを「休火山」、再び噴火することはまずないだろうものを「死火山」、というような区別で合意が得られれば、分かりやすくなるという。

マクガービーによれば、問題は、火山によって「休眠」の期間が大きく異なることだ。「溶岩湖を持つ火山の中には、チリ南部のビジャリカ火山のように、ほぼ休みなく活動している山もある。もっとも、溶岩は硬化した溶岩で形成された火山丘に閉じ込められており、少し盛り上がって噴出するだけなので、実際の被害はほとんどない。雪の山頂を目指すトレッキングが、観光客の人気を集めている」

ただし、火山活動が活発になると、山頂付近に安全な場所は全くなくなるという。爆発が起これば、溶岩がクレーターからあふれんばかりに流れ落ちる。洪水が発生して土石流になり、過去に死者が出て人々の財産を破壊したこともある。

「他の火山、特に(アメリカの)イエローストーンやロングバレーなど大きな火山は、休火山の期間が数十万年続くこともあるが、『死んだ』わけではない。いずれ再び噴火するはずだ」と、マクガービーは言う。地球上の活火山を全て挙げることは不可能だが、代表的なものを紹介しよう。

キラウエア火山(米ハワイ)

ハワイ島の南東に位置する。地球上で最も活発な火山の1つというだけでなく、最も危険な1つでもある。最後に噴火したのは2021年9月。過去の爆発による累計死者数は推定約400人。

キラウエアはアメリカの活火山の中で「脅威スコア」が最も高い。脅威スコアは、噴火の頻度、火山の種類、歴史的な不安定さ、付近の人口などを基に算出される。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日仏、円滑化協定締結に向けた協議開始で合意 パリで

ワールド

NATO、加盟国へのロシアのハイブリッド攻撃を「深

ビジネス

米製造業新規受注、3月は前月比1.6%増 予想と一

ワールド

暴力的な抗議は容認されず、バイデン氏 米大学の反戦
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中