最新記事

対中ビジネス

インテル ウイグル製品不使用要請が「炎上」で中国に謝罪

Intel Apologies to 'Cherished Chinese Partners' for Xinjiang Goods Boycott

2021年12月24日(金)17時29分
エリン・ブレイディ
インテルのロゴ

中国でもインテルは欠かせないはずなのに Andrew Kelly-REUTERS

<巨大な中国マーケットへ配慮を迫られる形で謝罪声明を発表>

米半導体大手のインテルは12月23日、取引先の部品メーカーに新疆ウイグル自治区の製品や労働力を使わないよう求めたことについて、中国に謝罪した。

インテルは23日に発表した声明で、「尊敬する中国の取引先やパートナー、国民の皆さまに迷惑をかけたことを謝罪する」と述べ、さらにこう続けた。「インテルは、信頼できる技術パートナーとなり、中国との共同開発を加速させていく決意だ」

同社は12月に入ってから部品メーカーに送った書簡の中で、現在の米政府の規制に従い、新疆ウイグル自治区で生産された製品をボイコットするよう要請していた。中国政府に対しては、同自治区のイスラム教徒のウイグル人を何カ月にもわたって拘束し、虐待し、洗脳していると国際社会から非難の声があがっていた。

しかし、インテルのこの要請が明らかになると、中国で批判が相次いだ。

人気タレントがアンバサダー契約を解除

中国外務省の趙立堅報道官は、インテルは「事実を尊重し、何が正しくて何が間違っているかを見分ける」べきだと非難した。

また中国で人気のユニット「TFボーイズ」の王俊凱(カーリーの愛称でも知られる)は22日、インテルとの「ブランドアンバサダー」の契約を解除したことを明らかにした。

共産党機関紙人民日報系のタブロイド紙で、愛国的な論調で知られる「環球時報」は、王俊凱のこの発表について「巨大な中国市場から利益を得ようとする一方で、中国の核心的利益を損なおうとする、インテルをはじめとする外国企業への新たな警鐘」だと書いた。

謝罪はこうした中国国内の批判に配慮したものと思われる。、

インテルは、中国の技術開発においてきわめて重要な役割を果たしており、北東部の大連市にチップ工場を、北京には研究施設を持っている。

中国がコンピューターやスマートフォンを製造する際の中核部品マイクロプロセッサに使われている化学物質シリカが、新疆ウイグル自治区製であることが多い。中国はマイクロプロセッサの国産化を試みてきているものの、いまだインテル製の半導体に頼る状況が続いている。


新疆ウイグル自治区の問題をめぐっては、活動家たちが2022年2月の北京冬季五輪ボイコットを各国に呼びかけており、緊張が高まっている。米ホワイトハウスは既に、同大会に政府高官を派遣しない外交ボイコットを表明している。また米政府が新疆ウイグル自治区の政府関係者2人に対して制裁を発動したことへの報復として、中国政府は22日、米政府機関「国際宗教自由委員会」のメンバー4人の入国を禁止すると発表した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

引き続き為替動向を注視、万全な対応取る=鈴木財務相

ビジネス

米金融機関ボーナス、今年は大幅増へ=リポート

ビジネス

日経平均は反落で寄り付く、利益確定売り優勢 

ビジネス

中国、豚内臓肉などの輸入で仏と合意 鳥インフル巡る
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岸田のホンネ
特集:岸田のホンネ
2024年5月14日号(5/ 8発売)

金正恩会談、台湾有事、円安・インフレの出口......岸田首相がニューズウィーク単独取材で語った「次の日本」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地ジャンプスーツ」が話題に

  • 2

    「自然は残酷だ...」動物園でクマがカモの親子を捕食...止めようと叫ぶ子どもたち

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 5

    デモを強制排除した米名門コロンビア大学の無分別...…

  • 6

    いま買うべきは日本株か、アメリカ株か? 4つの「グ…

  • 7

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 8

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 9

    中国軍機がオーストラリア軍ヘリを妨害 豪国防相「…

  • 10

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表.…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 3

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 4

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 7

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 8

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが......…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中