最新記事

感染症対策

米CDC、コロナ検査指針を変更「感染者と接触でも無症状なら検査不要」 専門家からは批判の声

2020年8月27日(木)11時09分

米疾病対策センター(CDC)は26日、新型コロナウイルス感染症の検査指針を変更し、コロナ感染者と接触しても無症状であれば検査を受ける必要はないと提言した。ニューヨークで18日撮影(2020年 ロイター/MIKE SEGAR)

米疾病対策センター(CDC)は26日、新型コロナウイルス感染症の検査指針を変更し、コロナ感染者と接触しても無症状であれば検査を受ける必要はないと提言した。

これまでは、感染者と接触があった人は全員検査を受けるべきとの指針を示していた。

CDCは、米食品医薬品局(FDA)と厚生省と連携し、新たな指針を決定したとし、「公衆衛生への妨げ」と解釈すべきではないとした。

厚生省のジロワー次官補は、「適切な検査」が目標で、検査を増やすことではないと指摘。無症状感染者の検査が早すぎてウイルスを確認できず、安全だと思い込んで感染拡大につながる可能性もあるとし、新たな指針が検査キット不足によるものではないと述べた。

コロナ検査を巡っては、多くの州で検査キットの不足など、トランプ政権の対応を巡り批判の声が上がっていた。

ボルチモア市の元衛生局長でジョージ・ワシントン大学ミルケン研究所公衆衛生学校の客員教授、リーナ・ウェン博士はCNNに、突然の指針変更は説明がつかないとした上で、「検査は拡大が必要なのであって、縮小ではない」と非難した。

ジロワー次官補は、指針変更の決定には政権からの政治的圧力はなかったと説明。「科学者や医療関係者が作成したもので、(政府の)対策本部で広く議論された」と述べた。対策本部はペンス副大統領がトップを務めている。

ニューヨーク州のクオモ知事(民主党)はツイッターへの投稿で、検査対象基準の変更が「科学ではなく、政治によるものだ」と批判した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・コロナ感染大国アメリカでマスクなしの密着パーティー、警察も手出しできず
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・韓国、新型コロナ第2波突入 大規模クラスターの元凶「サラン第一教会」とは何者か
・韓国、ユーチューブが大炎上 芸能人の「ステマ」、「悪魔編集」がはびこる


20200901issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年9月1日号(8月25日発売)は「コロナと脱グローバル化 11の予測」特集。人と物の往来が止まり、このまま世界は閉じるのか――。11人の識者が占うグローバリズムの未来。デービッド・アトキンソン/細谷雄一/ウィリアム・ジェーンウェイ/河野真太郎...他

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

サウジ6月原油販売価格、大半の地域で上昇 アジア5

ワールド

インドネシアGDP、第1四半期は予想上回る 見通し

ビジネス

バークシャー株主総会、気候変動・中国巡る提案など否

ワールド

イスラエル軍、ラファ住民に避難促す 地上攻撃準備か
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 4

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 5

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 6

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 9

    マフィアに狙われたオランダ王女が「スペイン極秘留…

  • 10

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 6

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 7

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 8

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中