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米暴動

トランプの対米デモ「武力鎮圧」発言に習近平「高笑い」

2020年6月4日(木)22時36分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

しかし、トランプにはそれができなかった。

喜ぶ中国――天安門事件と同じ構図

おまけに「自国民を守るために自国民に武力を使う」という論理は、まさに天安門事件と同じ構図だ。香港デモにおいても「善良な香港市民を(同じ香港市民である)暴徒から守るために警察権力を使う」という香港政府(=北京中央)と同じ論理である。

中国は狂喜した。

連日連夜、1時間ごとに大きくアメリカにおける抗議デモを報道し、トランプのメッセージに関しては解説委員付きの特集番組を何度も報道。世界で最も大きく報道し続けているのは中国だろう。

切り口は偏っているものの、詳細に事態の動向を知ろうと思えば中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTVを観るに限る。

「ほら見ろ、トランプには香港問題に口を挟む資格などない!」と言わんばかりの解説が続く。

実際、アメリカのメディアがスクープしたものだが、トランプは1989年6月4日の天安門事件が起きた時、「武力鎮圧したのは素晴らしい!」と中国の武力弾圧を礼賛していたとのこと。

トランプ、香港問題で「習近平制裁をやめた」――笑いが止まらない習近平

時事通信社(ワシントン時事)によると、トランプは3日、保守系テレビ「ニュースマックス」のインタビューで、「香港問題をめぐって、習近平に制裁を科すつもりはない」との認識を明らかにしたとのこと。

全人代で中国が香港への「国家安全法」導入の方針を決めたことに対して中国に制裁を加えるために、トランプはこれまで香港に認めてきた優遇措置を撤廃すると言ったり、中国当局者個人に制裁を科すと強く言ってきたが、少なくとも「習近平個人に対しての制裁はしない」ということだ。

自らが暴君となり、習近平と同じことをやっているので、中国に譲歩したことになる。

身から出た錆で、自分で転んでいるのだから、習近平としては笑いが止まらないだろう。

救われた跪(ひざまず)く米警官の姿

救われたのはデモ参加者に向かって賛同の意を表すために「跪いた米警官の姿」だ。

「私たちはあなたたちと共にあります。気持ちを一つにします」と権力側の警官がデモ参加者に向かって跪いた。

なんという神々しいまでに気高い姿だろう。

思わず涙が出そうになった。

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