最新記事

感染症対策

安倍首相「緊急事態を宣言する状況ではない」 五輪開催を改めて強調

2020年3月14日(土)20時39分

安倍晋三首相は14日、新型コロナウイルス対策の特別措置法が前日に成立したことを受けて会見し、同法で可能になった緊急事態宣言をする状況にはないとの認識を明らかにした。写真は3月14日、東京の首相官邸で撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

安倍晋三首相は14日、新型コロナウイルス対策の特別措置法が前日に成立したことを受けて会見し、同法で可能になった緊急事態宣言をする状況にはないとの認識を明らかにした。また、不透明感が強まっている東京五輪は予定通りに開催したい、と改めて強調した。

安倍首相は、日本の感染者は人口1万人当たり0.06人と説明した上で、中国や韓国のほか、イタリアなど欧州13カ国、イランなど中東3カ国よりも低い水準にあると指摘。「現時点で緊急事態を宣言する状況ではないと判断している」と語った。

一方で、「高い緊張感を持って事態の推移を注視し、必要であれば手続きにのっとって法律上の措置を実行する」と述べた。緊急事態の宣言は国民の私権の制限につながることから、専門家の意見を聞き、自身で会見して説明する考えを明らかにした。

また、安倍首相は新型コロナウイルスの感染拡大で金融市場が混乱し、経済が大きく落ち込むことが予想されるとして、大規模な対策を打ち出す方針も示した。まずは感染の拡大防止に注力した上で、経済再生に向け「一気呵成(かせい)に、これまでにない発想で思い切った措置を講じる」と語った。

消費税率の引き下げなどを盛り込んだ自民党の若手議員らによる提言にも言及し、「さまざまな可能性を想定しながら、必要かつ十分な経済財政政策を間髪入れずに講じたい」と述べた。

7月から始まる東京五輪・パラリンピックについては「今後ともIOC(国際オリンピック委員会)と連携しながら、この感染拡大を乗り越え、無事予定どおり開催したい」と語った。

安倍首相は、3月26日に福島県で予定されている聖火リレーのスタートにも立ち会う考えを示した。

(久保信博)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・一斉休校でわかった日本人のレベルの低さ
・ついにアメリカでも火がついた新型コロナ危機「数百万人が感染しかねない」と米高官
・スペイン、首都マドリードで新型コロナウイルス患者急増 保健当局「医療対応に限界」


20200317issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年3月17日号(3月10日発売)は「感染症 vs 人類」特集。ペスト、スペイン風邪、エボラ出血熱......。「見えない敵」との戦いの歴史に学ぶ新型コロナウイルスへの対処法。世界は、日本は、いま何をすべきか。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日本経済「持ち直しの見方、変わらず」=植田日銀総裁

ワールド

大統領選後に拘束記者解放、トランプ氏投稿 プーチン

ビジネス

ドイツ銀行、9年ぶりに円債発行 643億円

ビジネス

中国は過剰生産能力を認識すべき、G7で対応協議へ=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:スマホ・アプリ健康術
特集:スマホ・アプリ健康術
2024年5月28日号(5/21発売)

健康長寿のカギはスマホとスマートウォッチにあり。アプリで食事・運動・体調を管理する方法

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレドニアで非常事態が宣言されたか

  • 2

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決するとき

  • 3

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」...ウクライナのドローンが突っ込む瞬間とみられる劇的映像

  • 4

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 5

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 6

    韓国は「移民国家」に向かうのか?

  • 7

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 8

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 9

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 10

    高速鉄道熱に沸くアメリカ、先行する中国を追う──新…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    娘が「バイクで連れ去られる」動画を見て、父親は気を失った...家族が語ったハマスによる「拉致」被害

  • 4

    「EVは自動車保険入れません」...中国EVいよいよヤバ…

  • 5

    「隣のあの子」が「未来の王妃」へ...キャサリン妃の…

  • 6

    エジプトのギザ大ピラミッド近郊の地下に「謎めいた…

  • 7

    SNSで動画が大ヒットした「雨の中でバレエを踊るナイ…

  • 8

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 9

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 10

    米誌映画担当、今年一番気に入った映画のシーンは『…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々…

  • 5

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などで…

  • 6

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 7

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 10

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中