最新記事

スポーツ

東京オリンピック目指す美人剣士、資金不足でクラウド調達

Olympian Turns to GoFundMe to Send Her to 2020 Games in Tokyo

2019年10月21日(月)17時20分
ハンター・モイラー

東京オリンピックを目指すモニカ・アクサミット Monica Aksamit/FACEBOOK

<マイナー競技だと世界トップクラスの実力でも金に困る米アスリートのたくましい挑戦>

来年の東京五輪への出場を目指すアメリカのメダリストが、活動資金の不足を訴えてクラウドファンディングで支援を呼びかけた。

2016年リオデジャネイロ五輪のフェンシング女子サーブル団体で銅メダルを獲得したモニカ・アクサミット(29)は、メディアの取材に対し、生活費や借金の返済に加え、遠征やトレーニングの費用負担が大きいと説明した。メダリストであっても、競技にかかる費用を集めるのは大変だ。

アクサミットがインターネットを通じて資金調達を行うのはこれが初めてではない。リオ五輪の前も、クラウドファンディングのお世話になった。

「世間がどう思っているかは分からないが、このような形で支援を求めることには抵抗もある」と、アクサミットはクラウドファンディングサイトのゴーファンドミーで述べた。「フェンシングはマイナー競技で、銅メダリストでもスポンサーが付くとは限らない。ソーシャルメディアを介した活動を通じてこれまでに集まった資金は、2016年大会に出たときの借金返済に消えてしまった」

bijin.jpgfencing.jpg

アクサミットは今回の支援金の用途について、自宅のあるニュージャージー州から練習のためにニューヨーク市に通う交通費や、海外や全米各地で開催される大会への遠征費に充てるとしている。

クラウド調達の選手は100人以上

「昨年はワールドカップの遠征に約1万2600ドル、国内遠征で2500ドルの費用がかかった。それにビザの申請費用が500ドル」とアクサミットは書く。

地域情報サイトのパッチ・ドットコムによれば、オリンピックを目指す選手に対するアメリカ政府の支援は十分ではない。競技を続けるには借金を背負うかクラウドファンディングに頼るかその両方、という状況に陥るのは珍しい話ではない。

sexy.jpg

アクサミットはニューヨーク・ポスト紙に対し、フェンシングのように知名度の低い競技の選手ではよくある話だと語っている。またビジネス誌インクは、2016年リオ五輪への出場を目指す100人以上の選手がゴーファンドミーを利用したと伝えている。

「フェンシングやテコンドー、柔道などマイナー競技の選手たちは苦労している」とアクサミットはニューヨーク・ポストに語った。「世間が知らないだけ。私だけの話ではない」

アクサミットはポーランド移民の子で、9歳の時に競技を始めた。通っていたのは地元のポーランド系アメリカ人向けのフェンシング教室だ。

レッスン料を払えないと言うアクサミットの母にコーチたちは「ある時払いでいいからと言って、ただで練習させてくれることがよくあった」と、アクサミットはパッチ・ドットコムに語っている。

<参考記事>韓国で広がる東京五輪不参加を求める声、それを牽制する韓国政府
<参考記事>ラグビーW杯で考えさせられる、日本の「おもてなし力」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

新技術は労働者の痛み伴う、AIは異なる可能性=米S

ワールド

トランプ氏不倫口止め裁判で最終弁論、陪審29日にも

ワールド

多数犠牲のラファ攻撃、イスラエルへの軍事支援に影響

ビジネス

温暖化は米経済に長期打撃、資本ストックや消費押し下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
特集:イラン大統領墜落死の衝撃
2024年6月 4日号(5/28発売)

強硬派・ライシ大統領の突然の死はイスラム神権政治と中東の戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲームチェンジャーに?

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    メキシコに巨大な「緑の渦」が出現、その正体は?

  • 4

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 5

    汎用AIが特化型モデルを不要に=サム・アルトマン氏…

  • 6

    プーチンの天然ガス戦略が裏目で売り先が枯渇! 欧…

  • 7

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃…

  • 8

    なぜ「クアッド」はグダグダになってしまったのか?

  • 9

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 10

    ハイマースに次ぐウクライナ軍の強い味方、長射程で…

  • 1

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発」で吹き飛ばされる...ウクライナが動画を公開

  • 2

    自爆ドローンが、ロシア兵に「突撃」する瞬間映像をウクライナが公開...シャベルで応戦するも避けきれず

  • 3

    「なぜ彼と結婚したか分かるでしょ?」...メーガン妃がのろけた「結婚の決め手」とは

  • 4

    ウクライナ悲願のF16がロシアの最新鋭機Su57と対決す…

  • 5

    黒海沿岸、ロシアの大規模製油所から「火柱と黒煙」.…

  • 6

    戦うウクライナという盾がなくなれば第三次大戦は目…

  • 7

    能登群発地震、発生トリガーは大雪? 米MITが解析結…

  • 8

    中国海軍「ドローン専用空母」が革命的すぎる...ゲー…

  • 9

    「天国にいちばん近い島」の暗黒史──なぜニューカレ…

  • 10

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された─…

  • 1

    半裸でハマスに連れ去られた女性は骸骨で発見された──イスラエル人人質

  • 2

    EVが売れると自転車が爆発する...EV大国の中国で次々に明らかになる落とし穴

  • 3

    新宿タワマン刺殺、和久井学容疑者に「同情」などできない理由

  • 4

    やっと撃墜できたドローンが、仲間の兵士に直撃する…

  • 5

    立ち上る火柱、転がる犠牲者、ロシアの軍用車両10両…

  • 6

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 7

    ヨルダン・ラジワ皇太子妃のマタニティ姿「デニム生地…

  • 8

    ロシアの「亀戦車」、次々と地雷を踏んで「連続爆発…

  • 9

    大阪万博でも「同じ過ち」が繰り返された...「太平洋…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中