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新鮮味に欠ける『エイリアン』最新作

2017年9月15日(金)16時40分
サム・アダムズ

最新作でエイリアンと死闘を繰り広げるダニエルズ ©2017 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED

<ファンに不評だった前作の反省から原点に回帰したが、チャレンジ精神が影を潜めて残念な出来に>

映画『エイリアン』シリーズは誕生以来、監督同士が腕を競う格好の舞台となってきた。いくつかのお約束(企業批判、閉ざされた空間、アンドロイド、ブルーカラー同士の友情、そして主役のシガニー・ウィーバーとエイリアン)を除けば、後は何をやろうと監督次第だ。

『エイリアン2』のジェームズ・キャメロンは、前作の洗練されたホラーを捨てて80年代アクション映画の最高傑作をつくり上げた。『エイリアン3』のデービッド・フィンチャーは宇宙海兵隊から宇宙刑務所に舞台を移し、『エイリアン4』のジャンピエール・ジュネは閉所恐怖症的な路線から一転して、宇宙空間で人間の存在意義を問い掛けた。製作順にこだわらず見たい作品だけ見ても、面白さはそう変わらないはずだ。

一方、最新作『エイリアン:コヴェナント』はシリーズ5作目の『プロメテウス』(12年)の続編で、10年後という設定だ。『プロメテウス』では第1作でクルーを襲ったエイリアンが未知の惑星にたどり着いた経緯が前日譚として描かれた。

薄暗い宇宙船内部から、エイリアンがすむ岩だらけの広大な空間に舞台を移し、少なくともシリーズ1作目に続いて久しぶりに監督を務めたリドリー・スコットにとってはビジュアル面でシリーズを手直しする好機となった。

しかしファンにはあまり受けなかった。そこでスコットは『コヴェナント』でシリーズの原点に回帰。同時に『プロメテウス』から始まったストーリーがさらなる続編につながるよう地ならしをしようとしている。

だが、その試みはあまりうまくいってない。冒頭シーンで、アンドロイドのウォルター(マイケル・ファスベンダー)が操縦する宇宙船コヴェナント号は冷凍休眠状態の入植者2000人とクルー10数人を乗せて新天地となる惑星に向かう。

ところが思わぬ事故で船が破損し、船長は死亡。休眠状態から目覚めたクルーは謎めいた電波を受信する。コヴェナント号は針路を変更し、発信元と思われる惑星に向かう。調査のため惑星に降り立ったクルーを待ち受けていたのは......。

【参考記事】戦争映画の概念を変えた『ダンケルク』

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謎の電波を受信したコヴェナント号のクルーは未知の惑星へと向かうのだが ©2017 TWENTIETH CENTURY FOX FILM CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED

個性のないキャラばかり

『エイリアン』シリーズの特徴の1つは「使い捨て」の登場人物もキャラが立っていること。スコットは第1作で多種多様な人種や体格の人間を登場させ、キャメロンは第2作で短い会話だけで登場人物の人柄を観客に印象付けた。

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