最新記事

アメリカ政治

米予算教書の補助金大幅削減 痛みはトランプ支持層にも

2017年5月25日(木)09時25分


異なる見方

オハイオ州選出の共和党下院議員、トム・コール氏は、一部の案件に関して議会はトランプ政権の予算教書とは違う意見だろう、と予想。コール氏は下院歳出委員会で医療や社会保障関連の支出を扱う小委員会の委員長を務めており、コール氏の選挙区にとって重要な医療調査施設は連邦補助金に依存している。

コール氏は記者団に対し「国立衛生研究所(NIH)や疾病対策センター(CDC)(の予算)がカットされる可能性は低い。(それを削減するというのは)浅はかなことだ」との見方を示した。

ロジャース議員が最も不安視しているのは、失業した炭鉱労働者の教育訓練や、ケンタッキー州にブロードバンド・テクノロジー・センターを設置することなどを後押しするアパラチア地域委員会関連の1億4600万ドルの予算をトランプ政権が削ろうとしていることだ。

低所得者が日用品を購入するのを補助するフードスタンプ(食料配給券)プログラムも今後10年で2000億ドルの削減が提案されている。しかし、米農務省の統計によると、トランプ氏が大統領選で勝利したテキサスやインディアナ、アラバマ、ジョージアといった共和党支持の州では、多くのフードスタンプ受給者が登録されている。

連邦政府の統計によると、選挙で圧倒的なトランプ支持の結果となった郡で、フードスタンプを受給している白人有権者が多い。ロイターの分析によると、トランプ氏の提案した予算に基づけば、州への連邦補助金は来年度3%減少し、昨年の大統領選でクリントン氏を支持した州では4.8%と削減率はさらに大きくなる。トランプ氏を支持した州でも1.2%の削減となると試算される。

ただ、共和党議員の中には予算教書に賛意を示す向きもある。テキサス州中部を地盤とするジョン・カーター下院議員は「フードスタンプの対象となる人数を増やし過ぎた」と歓迎してみせた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ

ビジネス

NY連銀総裁、2%物価目標「極めて重要」 サマーズ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 6

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 7

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中