最新記事

2016米大統領選

トランプ、共和党議員の謀反の動きを一喝

2016年6月20日(月)16時00分
ウィンストン・ロス

David Becker-REUTERS

<フロリダ銃乱射で「そら見たことか」とムスリム差別へ勢いづくトランプだが、その勢いと反比例するように、共和党内や民主党からのトランプ批判も強まっている。共和党の反トランプ派は、7月の党大会で謀反を起こす?>

 共和党の大統領候補指名を確実にしたドナルド・トランプが相変わらずの大言壮語と暴言を吐き続けるなか、反トランプ派の共和党議員は彼が党の顔になる事態を何とか阻止しようと躍起になっている。

「トランプ以外なら誰でもいい」キャンペーン

 先月の「#neverTrunp(#ネバートランプ、トランプはダメ)」キャンペーンは、11月の大統領選本選でトランプに勝てる独立系の対立候補を探す運動だったが、今度は夏の党大会に主戦場を移している。党大会のルールを変えて、トランプに投票する義務から代議員を解放しようというのだ。「これは文字通り『トランプ以外なら誰でもいい』キャンペーンだ」と、コロラド州の共和党代議員、ケンダル・アンルーはワシントン・ポスト紙に語っている。

 反トランプ派が必死になるのも無理はない。当のトランプは、フロリダ州オーランドで49人が犠牲になった12日の銃乱射テロの後、「イスラム過激派のテロリズムについて正しかった」と言ってくれる支持者に「祝福してくれて感謝している」とツイートしたり、、自らの詐欺まがい商法に対する訴訟でトランプに不利な判断を下した判事に「メキシコ系だから公正な判断は期待できない」と差別発言をするなどして、いったんはトランプ支持でほぼ固まった党内からもたまらず批判の声が上がった。

【参考記事】銃乱射に便乗するトランプはテロリストの思うつぼ

「私には大きな支持があり、誰よりも多くの聴衆を集めている。大きな支持は、私の言うことが違法でも何でもないだけでなく、私に反感を抱く多くの人への戒めだ」と、トランプは声明で言った。「予備選で私に完敗した人々は、もう一度チャンスを得るためには何だってする。残念ながらセカンドチャンスを得られる仕組みにはなっていないがね」

【参考記事】選挙戦最大のピンチに追い込まれたトランプ

 ラスベガスで開いた選挙集会で、トランプは党内の批判は「でっち上げ」だとまで言った。「信じてくれ。ここにいるメディアの連中がすべてをでっち上げているんだ。わかったかい。何度でも言う、すべてはウソ、ウソ、でっち上げだ」

 ライバル民主党の批判も鋭さを増し、トランプの支持率はますます下がっている。最新の世論調査ではヒラリー・クリントン前国務長官は全米でトランプを5.8ポイントリードしている。クリントンの副大統領候補とも噂されるエリザベス・ウォーレン上院議員(民主党、マサチューセッツ州)のような進歩派の指導者は事あるごとにトランプを叩く。

「日々彼について学ぶほどに、ただの矮小で精神不安定な金の亡者だということが明らかにってくる。彼に興味があるのは自分だけ。彼は恥知らずの人種差別主義者で女性差別の弱い者いじめだということが日々、明らかになる」と、ウォーレンはニューハンプシャー州で開かれた民主党大会で言った。「彼がアメリカの大統領になる日はこないことも、日に日にはっきりしてくる」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ISM非製造業総合指数、4月は49.4 1年4カ

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想下回る 賃金伸び鈍化

ワールド

欧州委、中国EV3社に情報提供不十分と警告 反補助

ビジネス

米4月雇用17.5万人増、予想以上に鈍化 失業率3
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 2

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 3

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 4

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 7

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 8

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    元ファーストレディの「知っている人」発言...メーガ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中