最新記事

ニッポン社会

今では「ガイジン」じゃなく「YOU」と言われる

2016年2月22日(月)17時30分

 北アイルランドは、複雑で厄介な和平交渉の末にかなりの安定を勝ち得た。イギリスで最も混乱していたこの地域は、大きな変化を遂げた。

 こうしたイギリスの変化の度合いを考えれば、日本の変化が小さいことがわかってもらえるのではないだろうか。

 ぼくは変化がつねにいいものだと言っているわけではない(お気づきかと思うが、イギリスで起きている変化にはぼくが快く思っていないものがけっこうある)。事実、日本で多くのいいものごとが変わっていない(あるいは改善されている)ことはすばらしいと思う。たとえば、社会の強い団結心、優れた公共交通網、低い犯罪率といったことだ。

 日本に変化を妨げる根深い要因があると言いたいわけでもない。「明治革命」(こう呼んだほうが「維新」より正確だと思う)は、封建主義社会が一世代で先進国に変わるという、近代史でもまれに見る偉大な出来事だった。そして第二次世界大戦後、日本は完全に生まれ変わった。

 けれども思うに、今のぼくたちはそんな劇的な時代に生きていない。こんなふうに書くと失望する人がいるかもしれないが、日本を離れてかなりたったぼくが今の日本を見て気がつくのは、たくさんの小さな変化ばかりだ。たとえば──ぼくが初めて日本に来たとき、ときどき子どもたちがぼくを見て「アメリカ人だ」と言っていた。何年かすると「ガイジンがいる」と言うようになった。今ではなぜか「YOUがいる」と言われる。

<*下の画像をクリックするとAmazonのサイトに繋がります>


『新「ニッポン社会」入門
 ――英国人、日本で再び発見する』
 コリン・ジョイス 著
 森田浩之 訳
 三賢社

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

金ETF、4月の資金流入が3年ぶり高水準 中国主導

ワールド

新ローマ教皇にプレボスト枢機卿、初の米国出身 「レ

ビジネス

BYD目標、30年までに販売台数の半分を中国外で=

ワールド

メキシコ4月CPI、前年比3.93%上昇 予想とほ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 8
    日本の「治安神話」崩壊...犯罪増加と「生き甲斐」ブ…
  • 9
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 8
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 9
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 10
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中