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ユーロ危機

優等国オランダは欧州もう一つの火種

2012年9月11日(火)17時46分
ポール・アメス

 選挙戦最終盤の最大のニュースはむしろ、中道左派の労働党の見事な巻き返しだろう。かつてグリーンピースの活動家だったサムソン党首のコンセンサス重視の政治手法が、右派と左派の中傷合戦にうんざりした有権者の共感を得ているようだ。テレビ討論会でサムソンがギリシャ支援についてやや穏健な姿勢をみせた後でさえ、支持率は上昇した。

 先週行われた世論調査では、ルッテ率いる自由民主党が150議席中34議席を占め、社会党は28議席で2位。労働党も26議席で3位に食い込むという予測が出た。ウィルダース率いる自由党は現行の24議席から数を減らし、17議席と予想されている。

 この通りの結果となれば、右の自由党と左の社会党を含めず、中道政党だけで連立政権を組めるとサムソンは言う。

 そうなれば、EU本部と欧州各国も胸をなでおろすだろう。何しろ、オランダが急激に右傾化、あるいは左傾化すれば、緊縮財政路線によってユーロ危機を乗り切るという根本的なコンセンサスが崩壊しかねないのだから。

 もっとも、中道連立政権がすんんなり誕生するとは思えない。1970年代以来、オランダでは連立政権が成立するのに平均86日を要している。2010年の総選挙でも、ルッテが連立を組めたのは投票日の4カ月後だった。

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