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焼身自殺相次ぐ──イタリアで

緊縮財政下、過激な死に方を選ぶ事件が続いて国民もショックを隠せない

2012年3月30日(金)17時17分
ルーク・ブラウン

困窮の果て モンティ首相の財政手腕は海外からも高く評価されているが Max Rossi-Reuters

 胡錦濤(フー・チンタオ)中国国家主席の訪印に合わせ、インドの亡命チベット人が中国国外で初めて焼身自殺した今週、イタリアでも2人の男性が相次いで焼身自殺を図っていた。理由は、経済苦。イタリア中が強い衝撃を受けている。

 一人は、北部ボローニャで脱税を告発されていた建築業者の男性(58)。3月28日、車の中で自分の体に火を付けた。妻や友人、国税当局にあてた遺書を残していた。

 報道によれば、この男性は未払いになっていた税金13万4000ドルの支払いを求められており、不服申し立ても認められなかった。火を付けた後、駐車違反監視員に発見・救出されたが、重度のやけどを負って重体。集中治療室で治療を受けている。

賃金の未払いが続いて

 翌日には北部ベローナの市庁舎前で、モロッコ人の建設作業員(27)が自分の体にガソリンをかけて火を付けた。この男性も入院したが、回復に向かっている。彼は警察に対し、4カ月も賃金が支払われておらず、とにかくお金に困っていると語ったという。

 イタリアでは税金逃れが横行しており、その額は年間1600億ドルに上ると当局は試算している。財政危機からの脱却を目指すモンティ政権は、脱税を徹底的に取り締まっている。

 政府はさらに歳出削減、増税、年金削減などの緊縮政策も推進。労働組合によれば、こうした政策が一般の労働者にかなり深刻な影響を与えている。

 イタリアのメディアでは、焼身自殺を図った2人に対して同情的な論調が目立つ。ある新聞は、モロッコ人男性は「経済危機に押し潰された」、と表現している。

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