最新記事
運動

最強の筋トレは「ブリッジ」だった...健康寿命を左右する「背骨の守り方」とは?

2025年8月16日(土)09時30分
ポール・ウェイド(元囚人・キャリステニクス研究家)

それよりも腕の太さだ。筋肉について話す時の最初の話題も、腕がどれだけ太いかであり、脊柱の筋肉がどれだけ強いかではない。

この傾向は恥ずべきものだ。上腕二頭筋より、脊柱周辺にある筋肉のほうがはるかに重要だからだ。自分で動かすことができる筋肉の中でもっとも重要なのが脊椎筋であり、必ずトレーニングの対象にしなければならない。


脊柱を鍛える/Training the Spine

人体でもっとも大切な器官は筋肉ではない。心臓や肺でもない。それは脳だ。二次的な器官を含めた、人体のあらゆる構造とプロセスを実質的に制御しているのが脳だからだ。

また、わたしたちのアイデンティティのかなりの部分に認知機能がかかわっている。「わたし」が何者かは脳が決めている。だから、脳が死ぬと「わたし」はいなくなる。

人体で2番目に重要な器官が脊髄だ。脊髄は、下部脳幹に始まり、体の裏側を貫いていく神経繊維の集まりであり、脳と脳以外の体の間でやり取りされる情報シグナルの通り道になっている。

そのため、脳がどれほどパワフルで健康であっても、脊髄にひどいダメージを受けると、脳と脳以外の体との間で行われているコミュニケーションが成立しなくなる。スーパーマンを演じるスターであったクリストファー・リーブの麻痺をだれもが覚えている。

その悲劇が起こったのは1990年代半ば。原因は落馬だった。ヘルメットをつけていたリーブは、脳にはダメージを受けなかった。しかし、脊髄をひどく損傷し、そのため、脳からの指令が体に届かなくなってしまった。

脊髄はきわめて繊細であり、わずかな損傷でも、身体機能に致命的な影響をもたらす。健康と生存を左右することから、わたしたちの体は、脊髄を手厚く保護するように進化した。

そして、いまは、柔軟性を持った連結式の甲冑のような厚い柱──脊柱──の中に脊髄を収めている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

メラニア夫人、プーチン氏に書簡 子ども連れ去りに言

ワールド

米ロ首脳、ウクライナ安全保証を協議と伊首相 NAT

ワールド

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続、欧州首脳が共同

ワールド

ウクライナ大統領18日訪米へ、うまくいけばプーチン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
特集:Newsweek Exclusive 昭和100年
2025年8月12日/2025年8月19日号(8/ 5発売)

現代日本に息づく戦争と復興と繁栄の時代を、ニューズウィークはこう伝えた

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コロラド州で報告相次ぐ...衝撃的な写真の正体
  • 4
    【クイズ】次のうち、「海軍の規模」で世界トップ5に…
  • 5
    債務者救済かモラルハザードか 韓国50兆ウォン債務…
  • 6
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 7
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 8
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 9
    【クイズ】次のうち、「軍事力ランキング」で世界ト…
  • 10
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 1
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 2
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...「就学前後」に気を付けるべきポイント
  • 3
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた「復讐の技術」とは
  • 4
    頭部から「黒い触手のような角」が生えたウサギ、コ…
  • 5
    「笑い声が止まらん...」証明写真でエイリアン化して…
  • 6
    「長女の苦しみ」は大人になってからも...心理学者が…
  • 7
    これぞ「天才の発想」...スーツケース片手に長い階段…
  • 8
    「触ったらどうなるか...」列車をストップさせ、乗客…
  • 9
    「何これ...」歯医者のX線写真で「鼻」に写り込んだ…
  • 10
    産油国イラクで、農家が太陽光発電パネルを続々導入…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失…
  • 6
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
  • 10
    イラン人は原爆資料館で大泣きする...日本人が忘れた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中