文章術をつづったベストセラー作家が「言葉とは何か」を問い直す...自分を生かす「5つの言葉」とは
Why Words Matter
その後、野呂邦暢『丘の火』や大岡昇平『野火』、大西巨人『神聖喜劇』、それにトルストイ『戦争と平和』を読むようになり、やくざな親父の捨て台詞にも、一理はあるなと思うようになりました。アジア・太平洋戦争で餓死した日本の兵隊さんを思え。糧秣(りょうまつ)を奪い合って、友軍同士で殺し合うこともあったんだぞ。
失恋、減給、左遷、リストラ......。それがどうした風が吹く。白いおまんまに塩かけて食えりゃあ、なんの不足もありゃしない。
肝に銘じています。
【2】生まれたからには生きてやる
わたしは音楽評論もするので、ロックにソウルにヒップホップにワールドミュージックと、あらゆるジャンルの音楽を聴きます。日本語と英語は歌詞が分かるので、人生のいろんな局面で助けられました。挙げたのは、ブルーハーツ「ロクデナシ」から。
頼んでもいないのにこの世に生み落とされた。この時代、この国、この親から生まれたかったわけではない。親ガチャ、国ガチャ。時代ガチャ。不公平だ。だから生まれるとき、誰もが大声あげて泣き叫ぶ。「阿呆ばかりの大きな舞台に突き出されたのが悲しゅうてな」(シェイクスピア『リア王』)。
しかし、いったん生まれたからには、生きてやれ。邪険にされても、無視されても、そう簡単に消されてたまるか。死ぬまでは、生き生きと、生きるんだ。