激アツ「論破」対決には古代ギリシャの人たちも熱中...善く生きることを追究した対話の天才ソクラテス【3分だけ哲学】
さて、当時ギリシア社会の民主化が進むにつれて、古い考え方では新しい民主社会の要望を満足させられなくなりました。「これが正しいことだ」という普遍的真理(だれにとっても正しい基準)があやふやになったためです。
そんな状況の中で、相対主義の立場をとる職業的教育家が現れ、彼らはソフィスト(知者、知恵の教師)と呼ばれました。では相対主義とは何なのでしょうか? 雨が降っていました。そこでこう考えたそうです。「雨が降ると、瓦に雨の音がして、無数の雨どいから音が聞こえる」。
私は私、あなたはあなた:人間尺度論
ソフィストの代表者にはプロタゴラスやゴルギアスなどがいます。特にプロタゴラスが唱えた「人間は万物の尺度である」という人間尺度論は有名です。これは、今どきの高校生などに聞けば、すぐにわかるような考え方です。
オッサン:「人って、どういう生き方をしたらいいかな。おじさん悩んでるんだよ。人の生きるべき道って何かな」
高校生:「そんなの、人それぞれっしょ。私は私、あんたはあんた」
人の生き方は相対的だ、見る角度で変わるというわけです。これは別に勝手な考え方というわけではなくて、立派な哲学説です。現代の私たちも「すべての人にとって1つの正しいことがある」というよりは、「人それぞれに生き方がある」と考えるのが一般的でしょう。