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「不平等な特権待遇」国会議員の文通費に知られざる歴史あり(3)~GHQ「特権」を否定したのに特権化
「無料特権」実施には「大へんに手間がかかる」
その後の国会審議や憲法調査会の質疑を見ると、「無料特権」を実施するには「大へんに手間がかかる」ことが日本側で疑問視されたことが示唆されている。
例えば、国鉄無料乗車特権(現在のJR全線無料パス)は、個々の国会議員のみに与えられる一身専属的な特権であり、同行者には適用されない。本当に国会議員本人が乗車するのかの確認は、改札口入構時の目視確認によって比較的容易になしうる。
それに対して郵便物は、「公の性質を有する」かどうかの確認が容易ではない。封書の場合は中身の確認に開封が必要であり、葉書の場合であっても、その内容の公共性を判断しなければならず、政治活動に対する内容審査につながりかねない。無料特権が濫用されて、議員個人の私的郵便物の送付に流用される可能性もある。
そうした弊害を防ぐために、制度を利用する国会議員の「良心」に期待する――という方策は採用されず、日本側はGHQが指示した「特権付与」を換骨奪胎する形で修正した。
それは、無料郵便という特権を付与するのではなく、実費を弁償する形にして(第1の修正)、更に、実費弁償における都度精算の手間を省くために、「定額」(月125円)を一律に事前支給する(第2の修正)というものだ。つまり、いわば二重の換骨奪胎が為されたことになる。
GHQ側はその後、国会法草案における「常任委員会」の設置や議員の「質問権」といった他のテーマに関心を集中させており、通信費に関する日本側の「修正」は特に問題視されることなく、原案通りに可決、成立した。それ以降、通信費は範囲の拡大と支給額の増大を繰り返して、今の「文通費」(文書通信交通滞在費)に至るのである。
このような「通信費」の制定過程を踏まえならば、現在の文通費制度をどのように改善していけばよいだろうか。
まず、文通費制度は前述したように、GHQによる特権付与の勧告・指示を否定するところから始まり、都度精算の手間が大変だという弊害を回避するために、一定額の現金を月払いで一律に事前支給するという「渡し切り」の支給態様が取られたものだ。
しかし経費について、都度の確認や精算が「大へんな手間」だというのは昭和22年当時の発想だ。現在では、例えばクレジットカード等を使って費用の支出を明確化し、「経費性の認められる支出」に対してのみ事後的な精算を行うことは、民間では当たり前に行われている。そうでないと税務調査の対象にもなりかねない。
ところが、国会議員の経費については、ただただ範囲の拡大と支給額の増大が繰り返され、「渡し切り」という支給方法が「弊害」を回避するための次善の策という趣旨を理解しない国会議員が増加した。余った文通費の国庫返納制度が整備されていないことと相まって、経費精算とはかけ離れた「お小遣い化」が横行しているのだ。2013年に元総務副大臣が文書通信交通滞在費の一部を「海外投資」の原資に充てたと報じられた例はその最たるものだ。こうした野放図が、議員に対する「不平等な特権待遇」ではないかという国民的批判と政治不信を招いている。
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