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日銀4月会合、物価見通し引き上げへ 政策金利は据え置きの公算

2024年04月19日(金)19時59分

日銀は25―26日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利解除などの政策修正後の物価・金融情勢を分析する。同時に発表する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では24年度、25年度の物価見通し(生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI)を引き上げた上で、26年度にかけて目標の2%を維持する姿を示すとみられる。写真は日銀本店。09年3月撮影。(2024年 ロイター/Yuriko Nakao)

Takahiko Wada

[東京 19日 ロイター] - 日銀は25―26日に開く金融政策決定会合で、マイナス金利解除などの政策修正後の物価・金融情勢を分析する。同時に発表する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では24年度、25年度の物価見通し(生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPI)を引き上げた上で、26年度にかけて目標の2%を維持する姿を示すとみられる。一方、24年度の成長率は下方修正する見通し。政策金利は0─0.1%で据え置く公算が大きい。

    <コアコアは26年度まで2%台か>

日銀は3月に大規模緩和の枠組みを見直した。今回の決定会合は、3月会合で確認した賃金・物価の好循環を物価見通しの数値に反映する意味合いを持つ。焦点は春闘での高い賃上げ率、円安、原油高などを踏まえ、物価見通しをどのように示すかだ。

コアコアCPIの前年度比伸び率は24年度、25年度とも2%台に引き上げる可能性が高い。前回1月会合ではともに1.9%だった。今回新たに追加される26年度も、2%付近となりそうだ。物価高の持続、人手不足の継続で、日銀では来年の春闘でも高い賃上げ率になるとの見方が聞かれ始めている。

    一部自動車メーカーの生産停止による生産や個人消費の下振れで、1―3月期がマイナス成長になるとの見方から、24年度の実質国内総生産(GDP)の見通しは前回の前年度比1.2%増から下方修正する公算が大きい。しかし、生産や個人消費の弱さは一時的との見方が多く、経済が緩やかな回復を続けるとの基本的な見通しは変えないとみられる。

政策金利は据え置きとなる公算が大きい。春闘の高い賃上げ率で、物価目標実現への確度は引き続き、少しずつ高まっているとの見方が出ているが、現時点で中小企業の賃上げを裏付けるハードデータに乏しい。次回の利上げは変動型の住宅ローン金利の引き上げにつながる可能性が高く、より慎重に取り組む必要があるとの声もある。弱い個人消費への警戒感も根強い。

<国債買い入れ、方針は維持か>

    日銀は3月の決定会合で国債の買い入れ継続を決めた。「これまでとおおむね同程度」とされた買い入れ方針は今回の決定会合で維持されるとみられる。

    日銀は国債買い入れの減額を2つに分けて考えている。3月会合の声明文で示した「これまでとおおむね同程度」の買い入れ方針をもとに金融市場局が作成した国債買い入れ計画のレンジは4兆8100億円―7兆0100億円。この範囲での減額は、国債買い入れの実務を担う金融市場局の裁量に委ねられている。現状はレンジの中心値で買い入れが行われており、金融市場局の減額の余地が残っている。

その一方で、大幅に減額する場合には決定会合で議論し、議決が必要になるとみられる。植田和男総裁は「しばらく先に長期国債買い入れを縮小する局面に移行できればと考えている」と話してきたが、将来的にはバランスシートの具体的な縮小案を示すのが適切だとの声が出ている。

国債買い入れは金融政策のツールではないとの位置づけで、円安けん制のために国債の買い入れを減額する選択肢は取らないとみられる。

(和田崇彦)

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